第12話

私が好きだった遊びは、所謂女の子の遊びだけでは無い。

外遊びも大好きだった。


外では野生の猿そのもので、木登り、鬼ごっこ、縄跳び、駆けっこ始め、危ない冒険や悪戯いたずらも沢山やった。


シホちゃんの家庭はしつけがけっこう厳しかったので、暫くして木登りなどの危ない遊びはやめるように言われたらしい。

と言うか、私もある程度は両親に注意されていたのだが、馬耳東風ばじとうふうだったことは言うまでもない。


シホちゃんはちゃんと御両親の忠告を聞いて、私が猿になっている間じっと私を見ていた。


                     

そのうち私が猿になりたい時は、一人で居ることが多くなった。

実際はピーターと二人なのだが。

包帯を血まみれにしてでも猿を楽しんだ。


時々シホちゃん以外の気の合う猿と冒険するようになったが、それも親に発覚すると私しか居なくなる場合が多かった。


私は程良い高さと太さで、枝が三股になっている柿の木を見つけ、自分の秘密基地にした。

秘密基地ではピーターと話したり、ママゴトをしたり、幼稚園の保母さんごっこや、歌手一人観客一人のミニライブなどをしていると、包帯の中がぐじょぐじょしていることさえ、一時いっとき忘れられた。


その柿の木は近所の寺に向かう坂道の側に有ったので、道を歩く人を上から観察するのも楽しかった。

猫のようにじっとして見つめていると、だいたいの人が視線を感じてキョロキョロする。

でも頭の上で観察されているとは気づかず、見過ごして通り過ぎる。

それが面白かった。


木の上はいつも下からの景色しか見たことの無い私を、新鮮で偉くなったような気分にさせてくれた。

早く大人になって常にこの気分が得られたら、どんなに心が楽になるだろうと夢想したけれど、結局私は大人になっても伸び悩んだ。

乁( •_• )ㄏ


それに、その頃絵本で『ガリバー旅行記』を読み、大きい人の不便を知って以来大きくなることにあまり魅力を感じなくなった。

ガリバーみたいになるわけ無いのにね。


                       

ピーターは基地の有る林が気に入って、私が人観察している間、林の中を飛び回り自由を堪能していた。


時々、通行人の目の前に木の葉や実をわざと落として私の所在に気づかせようと悪戯したりしたが、キョロキョロしていた人も私を見つけるどころか寧ろ木の葉や実の仕業だと納得して通り過ぎるのだった。

するとピーターは負けん気を発揮して木の枝をバサバサ揺らし、落ちる量を多くすべく奮闘するのだが、小さなピーターが揺らせる強さなどたかが知れている。


                      

                     暫くして私とピーターは基地から少し登った所にもう一つ秘密の場所を見つけた。


              

            つづく


挿し絵です↓

https://kakuyomu.jp/users/mritw-u/news/16818093094646097149

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