第4話
ママは毎日一度近所の公園に連れて行ってくれた。
雨の日は児童館へ行って赤ん坊同士の馴れ合い、いや失礼付き合い訓練に参加させた。
ママさん同士の関係作りも兼ねていたようだ。
でも私は公園も児童館も好きでは無かった。
何となく子供同士の固まりが出来て、固まった子供同士のママさん達も当然のように固まり出す。 選択の余地も無く。
子供同士の固まりが出来ない場合は、ママさん達が先に固まりを作りその子供達もそれに倣う。 其処にも選択の余地は無い。
そして何故か集団では大人の中でも子供の中でもボスが生まれる。
大概、大人ボスの子供は子供ボスである場合が多い。
そんな空気に馴染めない私は、集団の中に居ても自然一人で遊ぶようになった。
ピーターはそんな時も私の傍で一緒に遊んで居た。私は赤ん坊なりに考えて、ピーターの存在を誰にも知られないよう出来るだけ声を出さず、一人遊びが好きな赤ちゃんを演じていた。
でも、ピーターが私にチョッカイを出すので、我慢し切れず大声で笑ってしまい、私に近づこうとした赤ん坊もギョッとして遠ざかるのだった。
ピーターは私が他の赤ん坊とツルむのを邪魔していたのかもしれないと今は思う。
ピーターも私だけと遊びたかったのだろうと。
そんな訳で私は一人遊びの好きな幼児の烙印を押され、実際ピーターだけと遊ぶのが一番好きだったので、何処に居ても早く家へ帰ってピーターと遊ぶことばかり考えていた。
このへんでママの良いところを一つ言っておこう。
折角ママが私を集団に馴染ませようと努力してくれたのに、私が集団の中に居てさえ一人遊びばかりしていることを『集団に馴染めない』とは決して言わなかったことだ。
いつだって『一人遊びが上手な子』『一人でも遊べる子』『一人遊びが得意な子』『一人が似合う子』と言っていた。
ママ自身が一人を愛していたからだろう。
だからママさん達との付き合いも、子供を通した義務として頑張っては居ても決してママにとって楽しいものでは無かった筈だ。
私が3歳を迎える頃、ママの体調が急に悪くなった。
日中でも寝て居るか、起きて居てもピリピリしている。
私は自分が悪い事をしたような気分になり、出来るだけママに近寄らないことにした。
ようやく普通の子供用になったパンツがまたトレーニングパンツに戻った。
そして、ピーターと益々ベッタリになった。
挿し絵です↓
https://kakuyomu.jp/users/mritw-u/news/16818093094139404059
つづく
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