第37話
「おい」
『すぅー、すぅー、すぅー』
「おい、起きろ。そのベッドは俺のだ」
『すぅー、すぅー、すぅー』
イラッ
仕方ない。平和的に起こしたかったが…
仕方ないな。起きないコイツが悪い。
確か、この部屋の掃除用にアレがあった
ハズだ…収納場所は…ああ、部屋の隅の箱か。よし。
『すぅー、すぅー、すぅー』
俺は静かにソレを持つ右手を上に上げ、
そして…
「………………………いい加減、起きろや
ボケェェエエエ!!」
バシンッ!
『イッタァァァアアア!!何!?
何事!?』
狸の頭に箒を振り下ろした。
うむ、いい音だ。
「やっと起きか。何、
俺の質問に対し、狸は不満そうな顔で
答えた。それはもう不服そうに。
『はぁ〜?!お前が喚んだんだろ!?
気持ち良く寝てたボクの所にお前の魔力が流れてきてボクをいきなり包んでこの場所に転移させたんだよ!自分のした事くらい把握しとけ!…まぁ?この寝具の良さに
免じて許してあげるけどね。』
「俺がお前を喚んだ?いつ?」
『ん〜ボクも寝てたから正確には
わからないけど。お腹の空き具合から
考えて…一時間前くらいじゃない?』
一時間前…心当たりは…アレしかない。
じゃあコイツがあのスキルの結果?
俺の類友?いや、まぁ、わかるよ?俺も
よく寝るからさ。でも、流石にコイツ
みたいに他人のベッドでは寝ない。寝ようと思えば寝れるけど、寝ない。失礼だし、何より気分的に嫌だ。寝具は自分用か新品が良い。って、そういえば…
「お前がなんでここに居るのかは
分かった。で?お前は一体なんなんだ?」
『ボク?ボクは…と、その前に魔力で
わかったけど、君の
一応あるんだ。いつまでも〝お前〟
呼ばわりは嫌だからね、教えとく…んだけど…そうだな。〝フク〟って呼んでよ』
コイツ…本名どころか、自分の種族すら
教える気ねぇな?寝獣って絶対、今考えただろ。フクってのも…何かの略か、愛称か?まぁ敵意や害意、悪意が無ければ
いいか…それはそれとして。
「お前…あ〜いや、フクの考えは
分かった。とりあえず、こっちは何も
聞かない。ただな?そろそろ、ベッドから降りろ。俺が寝れねぇだろう?」
それを聞いたフクは小首を傾げて言った。
『今から寝るの?君、大魔王の仕事は?
それに、ボクが居ようが寝れるでしょ?』
確かに…寝れる。あぁ、初めて見た時は
かなり驚いたからな。なんせ…
俺の知ってる寝具の中で一番近いのが
ネットで調べた事のあるキングサイズの
ベッドでそれを横に三つ並べた様な大きさだし。でも、自分が寝てるベッドに自分が招いた、もしくは認めた奴以外が居る事が俺は嫌なんだよ!だから…
「どんなに広くても、初めましての奴と
一緒に寝る気はねぇよ。フク、お前は
違う所で寝ろ。必要なら別の寝具を貸してやる。だから、そこを退け」
『え〜!?勝手に喚び出しておいて、更に勝手を言うの!?信じらんない!!』
スキル効果を知らなかったんだから
仕方ないだろう!知ってたら使わなかったわ!
「そう言われても、こっちもスキルの効果を確認しただけなんだよ。だから、別の
寝具を用意するって言ってるだろうが!
それが嫌なら帰れ!」
この発言がマズかった…何故なら
『出来たら、とっくに帰ってるよ!でも、出来ないからここに居るんだ!わかれよ!ボクの魂に君の魔力がくっついちゃって、テイムとか、主従契約みたいになっちゃってるの!そんな事しといて「そんな事する気は無かった」なんて、通じると本気で
思ってる!?今までに、詫びの言葉も無いじゃないか!ふざけるな!そっちがその気なら、こっちにも考えがあるぞ!』
そう言うと…城が揺れだした。え、何?!
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魔王の適性?魔王の継承者?…そんな事より俺の安眠枕とベッドはどこだ? 起き抜けパンダ @myaf
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