題名や参加している自主企画のタイトルを見れば、まあねぇ……と分かった気になりますが、本文を読み進めると思わぬ方向へと進んでいきます。
途中から立ちはだかるのは、現実の成功者とオタクとの格差です。NTRされた彼女はビジネスとファッションの世界へと進み、付き合い始めたのっぺらぼうはいかがわしい漫画を描いて漫画家デビューを目指します。
「そりゃあ人生の勝者はNTRされた彼女でしょう」とはならないのが本作です。
ビジネスとファッションの世界は麗しいですが裏に影があり、いかがわしい漫画は隠さなければいけないものすら描くのですから隠し事はなく中央まで均一な内容があります。
本当が嘘で、嘘が本物。
これは、ここカクヨムで小説を読み、そして小説を書く私たちにもあてはまります。恥ずかしいところは既に見せています。奥の奥まで見せても、恥ずべきところはありません。
カクヨムにお集まりの皆様は胸を張っていいです。それを後押しする小説です。