第14話
「みなさん、こんばんは。MIKIの恋愛相談ネットラジオの時間です」
MIKIの落ち着いた声が流れる。
「長らくお休みをしていて申し訳ありません。私の中で色々感情が揺れ動くことがあって、なかなか配信しようという気持ちになることができませんでした。配信もできない私に皆さんが温かいメッセージを送って下さって、そのおかげでまた配信をすることができました。本当にありがとうございます」
MIKIは一呼吸おいた。
「皆さんに謝らないといけないことがあります」
ウィステリアがログインしてきた。
「私はこれまで恋愛相談にのってきました。こうした方がいい、あぁした方がいいと偉そうにアドバイスしたこともありました。でも私は…」
MIKIさんはいい恋愛してそう
MIKIの彼氏羨ましい
そんなコメントやメッセージをもらったこともある。
でもそれには返事をしなかった。
今更イメージを変えるのが怖かった。
「私は恋愛をしたことがありません」
好きな人もいたことはなかった。
付き合ったこともない。
(それが本当の私だ)
「でも最近になって好きな人が出来て、毎日が楽しくて、その人に話しかけられるだけで幸せでした。人を好きになるってこんなに幸せなことなのかと思いました」
どの日もキラキラして幸せだった。
「でも…その人となかなか上手くいかなくて。彼はカッコよくて爽やかで、そう考えると自分は相応しくないんじゃないかと考え出したら、不安になって…苦しくなって…。彼の周りには、綺麗で可愛い人もいてその人と付き合っちゃうんじゃないかと悲しくなって…」
亮悟にふさわしい人は、私じゃない。
「苦しくて…本当に辛くて、誰かを好きになることがこんなに苦しいって知らなかった。私は何も知らなかったんです、恋も愛も何も。こんな状態で恋愛相談なんてのるべきじゃないって思いました。でも…」
パソコンを開いた時、多くのメッセージが来ていた。
“配信を再開してほしい”
“無理しないでね!待ってるよ”
“この前アドバイスしてもらったことを実行して上手くいきました!”
“いつまでも待ってます。また相談のってください!”
“あれから付き合ってもう1年です。ありがとうございました”
どの言葉も嬉しくて気づいたら涙が溢れていた。
自分がアドバイスしているつもりで、本当は皆に支えられていた。
「皆さんの言葉に本当に励まされました。そんな皆さんにどうして謝りたくなって今回配信を再開しました。今まで黙っていて申し訳ありませんでした。何も知らないのにアドバイスなんかして・・・」
まる:いつも恋愛に夢見てるなーって思ってたしな。でも俺みたいな現実的なことばっかり言っても面白くねぇよな。
綺夏:わかってんじゃん
まる:うるさい!
「バレてたんですね。それでも受け入れてくださってありがとうございます・・・。その上でさらに図々しいお願いなんですが」
すぅと息を吸った。
「今回は、私の恋愛相談にのってもらえないでしょうか」
坂之上:もちろん聞くでござる。
綺夏:そだね。MIKI、私らがついてるから相談してみな。
まる:現実的な地に足ついたアドバイスをするぞ
坂之上:任せるでござる
他にもアドバイスする、応援するなどのメッセージがたくさん上がってくる。
相手の姿は見えないけれど、自分のことを心配し応援してくれる仲間がいる。
(これまで続けてきてよかった・・・)
「ありがとう。じゃあ少し長くなるけど…」
これまでの亮悟とのことを話した。
綺夏:もうこれは告白するしかないでしょ?
まる:でもアルバイトとか一緒ならフラれたら気まずくならないか?
綺夏:なんでフラれる前提なのよ!どちらにしてもそれくらいのリスクは覚悟しないと。
坂之上:告白するしか相手の気持ちをする術はないでござる。
綺夏:そうだよね
他のコメントを見ても、告白すべきが圧倒的に多い。
「告白すべきなのはすごくよくわかるけど、フラれて関係が変わってしまうのが怖くて・・・」
綺夏:それが一番のリスクだよね
坂之上:もう少し仲を深めてからにするでござるか
綺夏;それもありかな
まる:でももうライバルがいるんだろ?そんなことしてる間にそっちと付き合ったらどうするんだよ
綺夏:それはそうだけど、そんなすぐそっちにとはならない気はするけど
まる:それは誰にもわからないだろ?フラれるのが怖いなら、他の女と付き合うのを黙ってみているしかない。どんな時だって、一歩勇気をだして踏み出した奴しか勝利は得られないんだからな
綺夏:・・・ほんとにまる?なんかセリフがかっこよすぎるんだけど。
まる:うるさい!
綺夏:でも確かに言っていることは正しいと私も思う。もしフラれて傷ついたなら、私たちが励ましてあげるよ。
坂之上:我々は仲間。いくらでも励ますでござる。
まる:まぁ付き合うことが幸せとは限らんしな。
綺夏;あんたやっぱりまるだね。デリカシーがないのよ。
「皆さん、ありがとうございます。皆さんのコメントをみてハッキリわかりました。私、やっぱり彼が他の人と付き合うのを見るなんてイヤ・・・だから」
すぅっと息を吸い込んだ。
「私、告白します」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます