3章 異世界での生活
第10話 未知なる冒険の始まり
扉をくぐった瞬間、彼女たちの目の前に広がったのはまるで夢の中のような風景だった。足元に広がる草は、見たこともない鮮やかな緑で、ひとひらひとひらがまるで生きているかのように揺れ動く。草の間からは、光を放つ小さな花がぽつぽつと顔を出し、まるで星が地面に降りてきたかのようだ。
「あれ……ここ、どこ?」と、竜が辺りを見渡し、顔をしかめた。
「戻れると思ったのに……なんでこんな場所に」と、沙羅もまた眉を下げ心配そうな顔をしている。
綾は足元を見つめながら、頭を整理しようとした。
「うーん、どういうことだろう……さっきの扉を通ったはずなのに、全然知らない場所だよ」
絵里香も不安げに周りを見回しながら言った。
「それに、道のりが全然違う。もしかしてまた別の世界に来ちゃったんじゃ……?」
「別の世界?」と、綾はその言葉に一瞬驚いたが、すぐに首を振った。
「まさか……でも、もしそうだとしても、どうして?」
「とりあえず、まずはここでどうするか考えよう」と、竜が冷静に言った。
「焦っても仕方ないし、とりあえず周りの様子を確認しないと」
施設育ちの竜はときどき冷静すぎるときがあるが、今はありがたかった。彼女たちは、少しずつ足を進めながら、周囲の景色を見渡した。見渡す限り、広がっているのは大きな森と、青空、そして奇妙な風景ばかりだった。木々の葉の色は、綾が知っているものとは少し違うし、空には見たこともないような鳥が飛んでいる。
「これって……本当に別の世界なの?」と、綾は不安な気持ちが高まる中で、自分自身に問いかけた。
「分からないけど、違う世界だとしても今はどうしようもないよね」と、沙羅が言った。彼女の表情は冷静だったが、その目には確かな不安が宿っていた。
「とりあえず、安全な場所を探そう」と、竜が提案した。
「少しでも休める場所を見つけて、考えを整理した方がいい」
「そうだね……」と、綾は、竜の言葉に頷いた。
「それなら、少し歩いてみよう」
彼女たちは、道を進んでいった。歩きながらも、どうしてこんなことになったのか、どうすれば元の世界に戻れるのか、さっぱりわからなかった。ただ、ただ、目の前の現実を受け入れるしかなかった。
「でも、こうして歩いていると、どこか懐かしいような気がする」と、綾はふと思って言った。
「懐かしい?」と、絵里香が不思議そうに振り向く。
「うん……なんだか、ここには昔見た絵本に出てくるような風景が広がっている気がする」と、綾は空を見上げながら続けた。
「でも、やっぱりおかしいよね。だって、ここに来る前は、森にいたはずなのに」
「おかしいのは当たり前でしょ」と、竜が少し笑った。
「だって、さっきの扉、普通じゃなかったし。こんな場所に来るなんて、予想してなかったけど」
「本当に、どうすればいいんだろう」と、綾はため息をつきながら言った。
「まずは、見つけるべきものがあるよね」と、沙羅が顔を上げた。
「ここがどこだか、どうして来てしまったのかは分からないけど、少なくとも今は私たちがここでどう生きるかを考えなきゃ」
妹がいて面倒見がよく、ポジティブな沙羅はいつもみんなに元気を与えてくれる。
「うん、沙羅の言う通りだよ」と、竜が同意しながら言った。
「ただ立ち止まっていてもしょうがないから、まずは歩きながら周りを見てみよう」
その後、彼女たちはしばらく歩き続け、少しずつ周囲を探索した。最初は不安と困惑でいっぱいだったが、少しずつその不安は薄れていった。異世界に迷い込んだとしても、きっと乗り越えられる。そう信じる気持ちが、少しずつ強くなっていった。
そして、歩いている途中で見つけたのは、古びた小さな小屋だった。外観はすでにかなり古いように見えたが、ひとまずその中で休息を取ることにした。
「ここなら、一晩過ごせるかな」と、沙羅が扉を開けながら言った。
「とりあえず、ここで休もう」と、竜が中を覗き込みながら答えた。
その夜、彼女たちはみんなで共にその小屋に泊まることにした。外の世界がどうなっているのか、何が待ち受けているのかは分からない。しかし、今はまだ、目の前のことに集中しなければならなかった。
「明日、どうしよう……?」と、綾は眠りにつく前にぼんやりと思った。きっと、未知の冒険が彼女たちを待っているだろうことを、感じていた。
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