第9話 異世界の扉
彼女たちは、なんとか狼との戦いを終え、静かな勝利の後に一息ついていた。倒れた狼の体からは、不気味な静けさが広がっている。仲間たちは無事だったが、誰もが心の中でまだ何か不安を抱えているようだった。
「それにしても、あの狼は一体なんだったんだろう?」と、沙羅がぽつりと言った。
「普通の狼じゃなかったよね」
「確かに、あんなに大きな狼なんて……」と、竜も首をかしげる。
「それに、赤い目が不気味だった」と、絵里香が怯えたように言う。
「まるで何かに操られているような感じがした」
「それじゃ、どうする? 進む?」竜と、がみんなに尋ねた。
「うん、進もう」と、沙羅が答える。
「でも、気をつけながら行こう。狼がまた現れるかもしれない」
綾たちは再び歩き始めた。周囲は依然として静かで、昼間の明るさが少しずつ失われ、薄暗くなっていく。日が沈みかけると、夜の
「見て、あれ!」と、突然、綾が声を上げた。
彼女の指さす先に、何かがキラリと輝いていた。まるで星のように、木々の間に浮かぶ小さな光が幻想的に光を放っている。
「何だろう、あれ?」と、沙羅が警戒しながらも目を細めて見つめた。
「もしかして、天空の森の中にある何かかも」と、近づきながら綾が呟いた。
その光は、綾が聞いたことがある伝説のようなものを思い出させた。天空の森には、失われた宝物や不思議な力を持つ遺物が隠されていると言われていた。
「それなら、行ってみよう」と、竜が少し前に出て言った。
「でも、慎重にね」
「綾、気をつけて」と、絵里香が優しく言った。
綾は頷きながら、メロンをしっかりと抱きしめた。メロンはまだ少し震えているが、綾に寄り添って安心しているようだった。恐れを感じる中でも、仲間たちがそばにいることが心強かった。
一歩一歩、光に向かって進んでいくと、次第にその光の正体が明らかになってきた。それは、木の間に吊るされた、見たことのない美しい宝石のような物体だった。まるで空の星を集めたかのように、まばゆい光を放っている。
「これが……?」と、綾がその宝石に手を伸ばすと、突然、周囲の空気が一変した。光が強くなり、瞬間的に視界が白くなる。次の瞬間、綾は異世界のような場所に立っていた。
周囲には、見たこともない景色が広がっていた。空は紫色に染まり、さっきまであった木々が一切なくなっており、不思議な雰囲気を醸し出していた。
「ここは?」と、綾が呟いた。
「どうなってるの?」と、沙羅も驚きの声を上げる。
「これは……違う世界?」と、竜が呆然とする中、絵里香が足元を確認しながら言った。
「でも、どうして急にこんなところに?」
「ねえ、あそこに扉があるよ。あれをくぐったら元の場所に戻れるかも!」と、綾が興奮気味に言った。
「そうね、ずっとここに居ても仕方がないし、開けてみよう!」と、沙羅も賛同するように声を上げた。
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