ホラー作家、深川我無様が富士見ノベル大賞に向けて執筆された物語となります。
僕は現実社会、世界と言うのはとても過酷だと思います。優しさや思いやりも溢れていますが、それ以外にも酷い現実がこの世界にはたくさんあるのです。戦争や貧困という大きなものから、パワハラやいじめなど日常での救われない現実。醜い人間、汚物みたいな人間、下衆、クズ、ゴミ、一体どれほどの悍ましき存在が、この世界では蠢いているのか、僕は彼らを見るたびに頭を抱えそうになります。
人間は不完全で迷惑な存在です。
さて、本作です。そんな醜い世界の「不幸」を背負った女の子が主人公です。この物語を通して、彼女は数奇な体験をしてゆきます。それは表層的な嫌悪感を越え、人間の本質的な下劣さ、悍ましさを垣間見る旅かも知れません。ですが、僕は思うのです。
世界は決して優しくない、だからこそ輝くものがある!
お勧め致します。
魂を揺さぶり、魂をえぐり、そこにある意志が魂から叫ぶ。この優しくない世界の中心で、彼女は何を叫ぶのでしょう?
皆様、力強い応援を宜しくお願い致します( ;∀;)
なかなかに濃い目のサドマゾめいた破廉恥エロチックがちらりと漂うこの作品。
しかし、その本質はタイトルにも謳われている「奇怪」にあります。
実にグロテスクで残虐めいているのに、それを涼しく、冷たく、底冷えするほど冷静に対処し、あまつさえそれに同調するような残虐さすら覗かせ、その異常さが読み進めるごとに牙を突き立て、食い込ませてきます。
唯一の救いは、ヒロインがコミカルで小動物めいたリアクションを取ってくれること。
彼女の存在のおかげで、SAN値即御臨終の世界を何とか異常さに飲み込まれずに読み進める音ができます。
というか、よく壊れないなこの子……いや、既にもう壊れているのか?
お読みの際はくれぐれも、強すぎる描写に精神を持って行かれないよう、ご注意ください。