第11話

……それは男性の声だった。





澄んだ、綺麗な声。


優しい声色。





──────あの夢の声みたいだな、と思った。






私はソッ……と目を開けて、声の主を見る。


そこには、ひとりの青年がいた。




線が細くて、薄茶色の髪をした青年。


大人っぽい雰囲気。


大学生かな?




儚げで、まるで朧のような人。


そして




"雪"



がとてもよく似合う人だった。







黙ったままの私に彼は優しく微笑んで、また聞く






「大丈夫?」


「えっ、あ、はい。

 ちょっと頭痛がしただけです」





慌てて答えると、青年は目を細めて。





「風邪かな?これだけ寒いのに、海に近付いちゃダメだよ?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る