異世界に召喚され、勇者となり、魔王を倒し、ハーレムを築く。そんな物語の「その後」はどうなるのか。主人公の語り口は軽妙で、異世界で築いた関係も、冒険の日々も、どこか気楽に受け止めているように見えます。けれど、その裏には見過ごせない問題が積み重なっていました。
英雄の血を引く子供たちは、異種族との間に生まれ、各地に散らばる。その影響は計り知れません。魔王討伐後の平和を守るために、勇者の血筋が増え続けることが、目の前の現実として立ちはだかります。
主人公が再び動き出すのは、自らの選択がもたらした結果を直視したからです。戦いの終わりは、必ずしも物語の終焉ではない。むしろ、そこから新たな問題が生まれ、向き合うべき課題が浮かび上がってきます。
魔王を倒し、世界を救い、ハーレムを築く――それだけで終わらないのが、この物語の面白さです。異世界ファンタジーの「その後」を、軽やかに、しかし確かに描き出したこの作品は、一つの旅の終わりが別の物語の始まりであることを示しています。