第3話 面食いの女子達は少しエロい?
「ねえ、ちょっと良いかな?」
帰りの
俺の悪口を言う女子の1人が何の用だ? 無視しても良いが、そうすると嫌がらせがエスカレートするかもな…。
ここは強気に出て、ナメられないようにした方が良さそうだ。『俺の悪口を言う奴はタダでは済まない』という雰囲気を出そう!
「…何だ?」
なんて考えたものの、咄嗟に出来るのは不機嫌っぽく振舞うぐらいだな。まぁ、笑顔で接するよりは効果あるだろう。
「えーと、ちょっと話があるんだけど…」
西宮さんが申し訳なさそうな様子を見せるので、少し罪悪感を覚えてしまった。だが、そもそもの原因は俺の悪口を言うからだろ。
「明日香。本題に入る前に謝ろうよ。多分じゃなくて絶対勘違いされてるから」
彼女にアドバイスしたのは俺の右隣の席の
「勘違い? あんな事言っておいてよく言うよ。俺含む男子を品定めしてたくせに」
勘違いする要素がどこにある?
「やっぱり聞き耳を立ててたみたいだね。わたし達をチラチラ見てくるからそう思ったよ」
「全てじゃないとはいえ話を聞いてる訳だから、勘違いしようがない。2人は、クラスの中で俺が一番ブサイクだと思ってるんだろ?」
「えっ? ブサイク? 何の事?」
西宮さんがそうつぶやいてから、東雲さんと顔を見合わせる。
「違うよ! わたし達は一番話しやすい男子を探してたの!」
「はぁ?」
こんなの、東雲さんの嘘に決まってる!
「あたしと
「何で男子? 普通は女子の友達だろ?」
西宮さんも嘘を付くタイプか…。
「あたし達は女子中出身だからね。女子の友達は何度も作った事あるから後回しで良いんだよ」
そういうものなのか? ずっと共学の俺にはピンとこない…。
「
「もっちゃん、許して♪」
東雲さん・西宮さんが、上目遣いでそれぞれふざけたあだ名を言って謝罪してきた。可愛いな…、じゃなくて!
「これで済むとは思ってないから、あたし達に質問を2回して良いよ」
「2回?」
「うん。1回だと少ないし、3回だと多い気がするからさ~」
なんて言われても、訊きたい事なんてないぞ。『何で俺が話しやすい男子の1番になったのか?』という最大の疑問があるが、空気的にそういう質問をする流れじゃない…。
「Hな質問でも良いよ♡」
「はぁ!?」
何言ってるんだ!?
「もっちゃんは、そういうのに興味ない感じ?」
あるに決まってるが、初対面の女子に訊く事じゃないぞ!
「明日香、からかわないの! ごめんね中君。明日香はイタズラ好きでね」
俺の許可なく“中君”呼びする東雲さんが言えるセリフか?
「小さい頃はともかく、今はイタズラしてないじゃん」
「今は? 前は何をしたんだ?」
流れ的につい訊いてしまった。これで1回消費だな。
「わたしのスカートをめくってきたんだよ。ひどいと思わない? 中君?」
「遊華のスカートに付いたゴミを払ったついでに…ね♪」
どう考えてもついでじゃない…。
「あの時の遊華の下着、背伸びしてる感じでエロかったな~」
「中君の前で言わないで~!」
少し顔を赤くする東雲さん。…やっぱり可愛い。
「そうそう。さっきの質問の補足だけど、さすがに“下着見せて”とかのエロいのはなしだから」
「わかってるよ」
西宮さんに言われるまでもない。
「まぁ、これからの展開次第ではあり得るかもね♡」
「ちょっと、明日香…」
何か変な空気になってる気がする。女子中ではこれが普通なのか?
「――これ以上教室にいると先生に注意されそう。中君、これからの予定は決まってる?」
少し沈黙が流れた後、東雲さんが話を切り出す。
「いや、何もないな」
「だったら、お昼を奢らせてくれないかな? だいぶ迷惑かけちゃったから」
「そこでもっちゃんの知りたい事、全部話すよ」
なんとなくだが、この2人は誤解される行動をとっただけで悪い人ではない気がする。とはいえ、最大の疑問の回答を聞くまでは油断するつもりはない。
「本当だな?」
「本当だよ。あたし、嘘は付かないから」
…幼馴染の東雲さんはそう思ってないみたいだぞ? 表情で大体わかる。
「それじゃ行こっか」
西宮さんに続いて俺と東雲さんも席を立ち、教室を出る。
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