第4話 彼女達の気持ちを知る俺

 東雲さん・西宮さんと共に学校の昇降口を出る俺。どこかの店で昼を奢ってくれるらしいが…。


「遊華どこにする? もっちゃんの事を考えたら、この辺のほうが良いよね?」


「そうだね。中君もそれで良いかな?」


「もちろんだ。そのほうが早く帰れるからな」


そもそも制服姿で遠出は避けたほうが良いし、近場を反対する理由はない。


「早く帰れる? もっちゃんって、このあたりに住んでるの?」


「まぁな。自転車で5分~10分ぐらいになるか」


「そうなんだ。あたし達は歩きでそれぐらいかな」


2人は幼馴染だから住んでるところも近いのか? …って、そうじゃなくて!


「ちょっと待ってくれ。この辺で女子中っていったら“陽聖ようせい中”しかないはずだぞ? 2人はそこを卒業したのか?」


「そうだよ。中君は“ひかり中学”を卒業したみたいだね」


近辺で共学の中学はそこしかない。


「ああ…」


つまり俺達3人は、意外にも近くに住んでいるようだ。こんな展開になるなんて…。


「幸先良いね~♪」


西宮さんはご機嫌だ。俺も悪い気はしないが、がなぁ…。


「それじゃあ――、お昼は〇ックで良い? 中君? わたし、新作バーガーを食べたくて…」


「OKだ。俺も食べたいやつがあるんだよ」


「そうなんだ♪」


2人の機嫌がよくなれば、質問しやすくなるから好都合だな。良い流れだ。



 〇ックに着いてから、新作バーガーを注文する俺達。新作は3種類あって、俺達は3人。どちらかと被る可能性を考えたが、誰も被らないとは…。


そして、適当な席に着いた後――。


「東雲さん・西宮さん。いきなりで悪いが、本題に入らせてもらう」

早く真相を知りたくてモヤモヤしてるんだよ。


「良いよ~」


「遠慮なく訊いてね、中君」


「じゃ遠慮なく。…何で俺が話しやすい男子の1番になったんだ?」

理由がさっぱりわからん。


「それはね…、“何となく”かな? 上手く説明できないよ」


「はぁ?」

この期に及んでふざけるのか? 東雲さんは?


「例えばだけど、もっちゃんが誰かに声をかけるとしたら、どういう人にする?」


「そうだな……。『優しそうな人』とか『忙しそうにしてない人』あたりか」

2人は異性の友達を作りたいから、同性・異性についてはスルーだ。


「その優しそうな人ってどういう人? うまく説明できる?」


「それは…、できそうにない」

基準や考え方は人それぞれだし、直感もある。勘を説明するのは無理だ。


「でしょ? 遊華だけじゃなくて、あたしも同じなんだよね~」


「――だったら、何でコソコソ話したんだ?」

あれが勘違いの原因だろ!


「だって恥ずかしいし…。もっちゃんに気付かれたくなくて……」


モジモジしながら言われると、これ以上追及できないじゃないか! とはいえ、今の答えでは納得できない。 一体どうすれば…?


「…本当にそれだけだな? 他に隠してないな?」

この答え次第で、2人と距離を置く事を考えよう。


「隠してないよ!×2」


東雲さん・西宮さんは同時にそう言って、俺の目を見つめる。……恥ずかしくて俺が目を逸らしたくなる。


こんな事が出来るんだから、きっと本当だろう。そう思うとしよう。


「――わかったから、もう見つめなくて良いぞ」


「もっちゃん、顔を赤くして可愛いな~♪」


「わたしはさっき見られたから、お返しだね♪」


この空気を何とかしないと。どうしようか…?


「…そんな事より早く食べようぜ。冷めちゃうからさ」


半ば強引に昼食の時間にするのだった。

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