小説を書いている作者が日頃思っていること

有沢真尋

第1話

 こんにちは。

 隙あらばSNSアカウント削除したい系作者です。

 うっかり変なこと言うくらいなら、何も言わないでいたい。

 そうだ、ログインしなきゃいいじゃん!


 かくして、足が遠のきます。

 たまにログインしても、流れてくる猫の写真にひたすらイイネをして立ち去る生活になります。


 リポストはほぼしません。たまたま目にしたひとつの投稿だけみて良いなと思って拡散したら、そのアカウントがとんでもない政治的発言を繰り出していることもあるからです。ま、待ってー!そこには賛同していない!

 ということになりかねないので、普段はイイネして終わり。


 ところでSNSはイイネをしまくると「あなたそれが好きなんですね! わかりました!」とAIに気づかれて、以降似たものばかり流れてくるという状態になります。


 しかも、AIさんは「ん~、そうですね! 私、決めました! 今日のあなたは黒猫の日です!」と、そのときによってテーマを設けているようで、オススメ欄スクロールしてもしてもえんえんどこかの可愛い黒猫さんばかりということが頻繁におきます。

 もちろん、AIさんは黒猫以外にも関心があるので、日によっては違うポストを収集してきてくれます。


 そうですね! 今日は「ボニャール」でいきます!(注意:ボナールの名画の猫のポーズと猫「にゃ」をかけあわせた最近の造語です)

 今日はどうしましょう。寝ている猫でいきますかね!

 おまかせください! 私はあなただけの猫ソムリエです!!!

 猫を!! もっと猫を!! 猫を集めてきますね!!!!!!!


 こんな感じでAIさんの親切心が炸裂した結果、作家さんアカウントと相互になっているはずなのに、ログインしてもどなたの宣伝も流れてこなくて、とにかくいつ見ても猫だらけという状態になります。

 猫にイイネをして、拡散はすることなく、去る日々。


 作家アカウントとしては常に沈黙。どう見ても、ただ作って放置しているだけ。

 これでは、いざというときに宣伝してもどなたにも気づかれない。きっともう私のポストなんて誰にも見えていない。

 そう思い、ごくまれに日常のことをポストします。


1月「この時期みなさんあるあるだと思うんですけど、仕事先へのメールで『ことしもよろしくお願いします』と書いたつもりが、ころしもよろしくお願いしますになってました。送る前に気づいて良かったです」


 はい、無害な、比較的他の方もいいねしやすいポストですね。一ヶ月に一回、このくらいの内容書いておけばいいんじゃないでしょうか。

 そう思った私、今日もふと、とあるポストをしてみました。


2月「書いているひとあるあるだと思うんですけど、ドシリアスな場面を書いていて『悪寒が走った』という文章見直したときに『オカンが走った』になっていたりします。

 オカン走らないでいいよ。


 悪寒が止まらない→オカンが止まらない!


 オカンもういいよ、ちょっと休もう」


 この無害なポストがややウケしていました。書いている皆さん「あるある」って共感なさったのかもしれませんね。


 ちなみに私はTL/BLジャンルを書くこともあるんですが、この変換ミスはしばしばRシーンで発生するわけです。

 真剣に書いているわけですが、そこに突如として現れる、


 オカン!!


 オカンいたの!

 そこにいてはいけないです!


 消しても一度キーボードに学習されると何度も現れます。


 オカン、またとんでもないタイミングで登場人物みたいな顔してふつーに紛れ込んでる!

 世界観崩壊するのでちょっとやめていただけませんか!


 オカン!

 オカン!


 作者、ドシリアスなシーンもRシーンも常にこういった誤字と戦いながら書いているわけです。


 ちなみに私の中でいまのところ殿堂入りしている誤字は


「電車にホームがすべりこんできた」


 ですね。

 これ、友達の投稿原稿の下読みをしているときに見つけて、


「ホームがアクティヴ!! すべりこんじゃいけないところにすべりこんでる!! 電車もしめやかに受け止めている場合ではないです!!」


 ってその原稿書いた方と会話交わしていたんですが、その後私の頭にも刷り込まれてしまったみたいで、自分でもやらかしたことがあります。

 そんな、誤字が伝染するなんてあるわけが、と思う方もいるかもしれませんが、それなりに文字を書いてきたひとは「わかる。ある」と直感的に思うんじゃないでしょうか。





 だってこれ読んだひとしばらくの間「悪寒」って書いた瞬間、そこに「オカン」幻視しますでしょ。





※タイトル回収※


 私は書いているとき、いつもこういうことを考えていて、常に「これ書いたらウケるかな~、すべるかな~」って悩んでいます。自分の場合、そこが行き過ぎると「これ本当に面白いかな?現象」になるんだと思います。

 実際、書いた小説を公開するまでは「やっぱウケないかな」「面白いの自分だけじゃない?」「いや~すべるでしょう」って葛藤があるわけです。

 そんなとき、思いがけず高評価頂いたりすると「一か八かのダジャレを言ったら、笑うと思っていなかった相手が思いっきり笑って、いい笑顔見せてくれた」みたいな気分になるんです。悩んでいた時間が全部吹き飛ぶような爽快感とか、嬉しさとか。

 そんなに笑ってくれるんだ……書いて良かった……っていう感じです。

 その瞬間のために、毎日小説書いているのかもなって思っています。感謝!

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