幻獣のいる世界⑨デュラハンは、実は妖精の仲間だった…

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 高校の授業中に窓の外に見ると…首なし怪談話が、楽しくスタートです!パカパカ走るよ、あの幻獣が~

 たいてい、学校の授業はつまらない。

 「首のない楽しい怪談話」

 そういうものがあっても、良いんじゃないか。

 彼は、教室の外をボーッとながめ続けている。

 ここは、彼の通ういなか高校。

 まわりからは、必ずこう言われる。

 「こんないなかの高校を、なぜ受けたんだ?」

 「なぜ、通うんだ?」

 彼の答えは、決まっている。

 「面白そうだから」

 秒で、こう返されるが。

 「…ふうん。変わっているね」

 だろうね。

 「変わっているやつ」

 彼も、自覚しているが。

 「良いじゃないか…。いなかにくると、町が発展していくのが良くわかる」

 教室の外をながめていると、面白い発見がしやすい。

 「あ、ビルが建ちはじめた。オモシロ!町が発展していくぞ!」

 都会ならそう言っても感動がうすいはずだけれど、こんないなかじゃ新鮮に映る。

 それにしても、今回の発見は怖すぎだ。

 「…あ。山沿いに、何かの建物ができはじめた」

 問題は次。

 「何あれ?」

 何体もの馬に乗る、首のない騎士たちが、建設中の建物の中に入っていったのだ。

 首なし騎士たちは、頭を片手にかかえている。

 だれの首だ。

 ああ、気味が悪い。

 楽しそうな風景が、一気に不安に変わる。 当たり前かもしれないが、工事は翌日も続いた。

 首のない騎士たちがまた、建物の中に入っていく。

 そのとき彼はふと、思い出した。

 「デュラハン…。そうだ。首のない騎士といえば、幻獣で妖精のデュラハン」

 彼が見たのは、デュラハンだったのか?

 翌朝、玄関にチラシが入り謎が解けた。

 「いなかならでは!新時代のデュラハンメリーゴーランドが、オープンしました!」

 そうきたか。

 「デュラハン」

 それは、頭部のない胴体だけの姿をした幻獣で妖精。

 討ち取った相手の首を手や胸元にかかえ、馬にまたがって走る者。

 その姿から「アンデッドモンスター」と思われがちだが、実は妖精。

 「そんなテーマパーク、流行るのか?」

 そう思ったら、やっぱりつぶれました。

 この変なキャッチフレーズが、問題だったんじゃないの?

 「いなかならでは、新時代の…」

 いなかならでは?

 新時代の?

 とにかく、デュラハンたちは失業したことになる。

 「ふふふ…首を切られたっていうことか…首なし騎士、だけに」

 ぽつり、つぶやく。

 面白くありませんが。

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