本をつくってみたい
最近の自分はどうも「本をつくってみたい」という気持ちに溢れている。
なぜ、と聞かれるとシンプルに「本が好きだから」という言葉しか出ないのだけれども、何か、もっと素敵な言い回しで伝えたいけれど、うまく言えない、こんな気持ちをどうしてやればいいのか……。
幼少の頃は、寝る前に母が読んでくれる絵本が楽しみだった。我が家に絵本は3冊ほどしかなくて、それを母が日替わりで読んでいた。なのでストーリーも覚えているし、絵も覚えている。なのに、どうしてあんなに大好きな時間だったのか。
単純だけれど、やはり親が自分のために読んでくれているという状況が自分にとって、しあわせな空間だったのだと思う。
両親からはあるしんどさをもらっているのだけれど(これについてはいつかエピソードに書けたらと思う)、だとしても、子にとって親は、特別に愛されたいと思うようにできているようだ。にくらしいけど仕方がない。
小学生の頃。朝の読書活動というのがあった。子どもの読書離れをなんとかしようという教育サイドの頑張りなのだと思うけれども、当時の私は本を読むより、外で遊ぶ方が大好きな少女だった。なので朝の読書活動の時間は、なんというか、間を持たすのが大変だった。
10分か15分。机で本を読む。クラス文庫というのもあって、席の後ろに小さな本棚があった。そこから本を読むのもいいし、家から本を持ってきてもいい。どれも読むのがない人は先生が用意したプリント(たぶん、何かの物語を印刷したもの)を読む。私はもっぱら先生が用意したプリントを(文字が並んでるなー)ぐらいの気持ちで時間をつぶしていた記憶がある。
なので飽きる。
なんとなく、クラス文庫をのぞいて可愛いイラストが書かれた本を手に取って読んでみた。めちゃくちゃ面白かった。その本は『小公女』だった。
びっくりするぐらい衝撃を受けた。セエラの真っ直ぐな優しさとか、強さとか、周りの人の優しさ、時に厳しさなどを全身にあびた。
そこからは転がるように本の世界に沈んでいき、『小公子』を読んで、海外の児童文学に目覚め、「ナルニア国シリーズ」とか「大魔法使いクレストマンシーシリーズ」あたりを読み漁った。
子どもながらの感性ではあるけれど、最初は表紙で読む本を決めていた。佐竹美保さんの絵が大好きで、佐竹さんの書かれた表紙を見つけては読んでいた。
小説は面白い。なにより、読むだけで、いつでもその世界にいけるのが楽しかった。嫌なことがあっても、教室の喧噪のなかでも、どこにでも行けたし、いろんな人に出逢えた。私の逃げ場所であり、休息場所であり、良き相談相手だった。
なので、私は本が好きだ。好きなのだから、一度は作ってみたい。
身体も心も壊して休んだ果てに、そう思った。
休んでいる間に、文字に携わる仕事をしている方(作家さん、翻訳家さん、校正者さんなどなど)のエッセイやブログを読み漁っていたり、講座に申込みをしてお話しを聞く機会が多かったからかもしれない。
なんか、夢みたいなこと思ってるなあ……と頭の片隅で冷静な自分が様子を見ているのだけれど、知っている。冷静な私だって本当は、そういうことがしたくて羨ましく見ているのだ。
だったら、冷静な私もちょっとこっちに来なさい。と半ば無理やりに「でもなー」「実際はなー」とぶつくさ言ってるのを流しながら、文字を書くこととは、本とは、みたいなことを最近は考えている。
そんな気持ちで、なんとなしに近所の本屋さんを調べてみたら、近所に「ZINE」の作り方を教えてくれる本屋さんがあることを知った。こんなことある?
有名作家になって、本を出すのはめちゃくちゃ難しいだろう。だけど、だからといってこのまま何もしないで「やりたかったこと」を消していくのは、なんか人生勿体ないのでは? と思った。あと、羨ましいなって見ているなら、やってみたらいいじゃないか、と思った。
なんて、まあ、夢物語みたいな話だけど、そんな羨ましがりな私が、後ろの方でぶつくさ言っているけど、奴だって悪い人間じゃないのだ。本が好きという気持ちは、しっかり持っているのだから。
4月私も復職が決まって、育児に仕事に生活に忙しくなる。確実に。
でも、そうだな、前とは違って、羨ましいと思う私に寄り添ってみて、小さなことからやってみるのはいい機会かもしれない。
変わらず、カクヨムで小説やエッセイを更新されている人は、すごいなあと思う。思っていることや考えていることを文字にするってすごいことだ。
自分も、続けていけたらいいなあと思っている。
「でもなー最後までできないかもしれないしなー」
そうやねーまあ、でもやってみないとはじまりもしないしねー
「それにさーすごい文才があるわけでもないしさー」
そうかー自信がないのはつらいよねーでもやって駄目でも別に誰も何もいわないよー
「しかもさーすごい人はめちゃくちゃいるじゃーん」
羨ましいよねーそうなりたいんだよねー
まあ、人間ですからね。羨ましくもなりますわな。
亀並みの歩行速度かもしれませんが(いや亀は結構速いけどね。比喩として)、本をつくってみたいなあ。
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