石見と天宮
柴咲心桜
第1話 気になるあの人
4月。桜が開花する季節である日だが雨が降っている今日この頃。私、石見舞は相合傘をしていた。
「先輩、傘忘れてきたんですか?」
「ごめんごめん!今日、急いで家出てきたからさ」黒髪長髪の少女は私に謝りながらー
「でも、私と相合傘。出来て良かったじゃん」
「私は女の人に興味なんてありませんよ!」黒髪の女性にからかわれたくないため抵抗するが「本当は嬉しい癖に」と言われてしまう。そもそもなぜ私と先輩が相合傘をするような仲なのか。それは入学前の3月下旬にまで遡る。
『あぁ!傘忘れちゃった』私はあの時、色々あって久しぶりに羽目を外して市内のカラオケで遊んだ時の帰りのことである。天気予報を確認しなかったため傘を忘れてしまったのだ。
「天気予報見ておけば良かったな」そう思っていると後ろから声を掛けられる。
「君、傘ないの?」相手は綺麗なお姉さんだった。
「忘れてしまって、傘ないんです」私は傘を忘れたことを正直に打ち明けた。
「君、どこから来たの?」
「春日部からです」
「奇遇!私も春日部なんだよね」
「そうなんですか?」
「一緒に帰る?」
「是非!」
「ただ、私してみたいことあってさ」
「してみたいこと、ですか?」
「うん、だから検証に付き合ってくれない?」その女性の提案を私は断ることが出来なかった。
「それで、何を検証するんですか?」
「それは、相合傘よ」
「相合傘!?」思っていたことよりレベルの高いものを要求されてしまった。
「まずは手を繋ぎましょうね」そう言い彼女は私と手を繋いでくる。
「あの、、」これってもしかしなくても恋人繋ぎじゃない!?
口に出してしまいそうな程、彼女と手を繋だのは一瞬だった。
「じゃあ、傘。さしてくれる?」
「私がさすの?」そう聞くと頷かれて笠を手渡される。
「分かった」そう言い私は戸惑いながら傘をさした。
「家近いの?」今度は私から彼女に聞いてみることにした。
「近いよ」私の問いに答え終わると今度は彼女の方から私に聞いてきた。
「いくつ?」
「来年で16になるかな」
「歳近いわね」笑いながらそう言う彼女に私はいくつなのかと尋ねると女性に年齢を聞くのは失礼じゃないかと指摘された。
私には聞いてきたでしょ!と言いたいところだが口に出すと何を言われるか分からないため心の中だけにしておく。
私はこの名前も知らない人に嫌われたくないと思い始めているからだ。
「ありがとうございました」家の近くまで送ってもらった私は女性にお礼を言いその場で解散することになった。
現在。4月5日の入学式。どうやら同じクラスにはあの女性の姿は見られない。
入学式が終わり放課後になった時、黒髪の少女に話しかけられる。
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