婚約が決まり、未来が見えたと思った瞬間に、足元から世界が崩れ去る。
目の前で繰り広げられる裏切りの光景、押し寄せる怒りと虚無感。
けれど、この物語は単なる婚約破棄の物語ではありません。
主人公カシリーナの婚約者・トールは、ただの浮気者ではなく、巧妙に仕組まれた罠にかかっていただけ。
そしてその舞台を整えたのは、彼女の「友人」エリオでした。
表向きは優しく穏やかな青年、けれどその裏では、誰よりも冷静に計算し、すべてを思い通りに動かしていく。
策略の果てに掴んだ婚約、決して手放さないと誓った未来。
けれど、愛の形がこうして作られたとき、そこに本当の幸せはあるのでしょうか。
誰が真に笑い、誰が哀しみを飲み込んだのか。
すべてが決着した後、ふと心に余韻が残る物語です。