第7話 一軒家に飛びつく俺

「ARグループ社長に見初められたの?」


 俺が、母さんに言うと頬を赤らめて頷いた。この人、正直だからな!

 一途だし。


「忙しいから、どうしても外食が多くなるらしいの。そばで、支えて栄養管理をして欲しいとお願いされたわ」


「母さんの説教が愛を生んだ……すごいね~~」


 どうせ俺は、母さんの結婚相手の家には行けまい。なんせ相手は、財閥のARグループだぞ! 俺でも知ってる企業だ。テレビのコマーシャルでも流れてるくらいだぞ。


「それでね、ピカチュウ。あなたもいっしょに東京に来て欲しいのよ」


 俺は、口をあんぐりと開いたまま閉じなかった。

 な……? どういうこと!?


「ピカチュウに、東京の高校に進学して、いずれは、ARグループ傘下の企業に入って欲しいそうよ」


「待って!! 待って!! 母さん。俺、まだ将来のことは何も決めてないんだよ。アニメが好きってくらいにしか……」


「分かってるわ。まだ15だもんね、これから決めてけばいいのよ。それには、地方都市より、東京の方が有利だわ。可能性も広がる! なにより、私だけでは叶えられないあなたの将来のことを太蔵たいぞうさんは考えてくれるているのよ」


 社長は太蔵というのか……

 俺は、チラリと虎太郎のことが頭の隅によぎった。

 社長のお家、イコール、豪邸、イコール、一軒家!!

 虎太郎の飼い主探しをしなくて済む!!


 直ぐに、俺は母さんに言ったね。


「ネコをいっしょに連れて行っていいなら、この話賛成するよ」


 母さんは、驚いていた。


「それは……あちらのお宅の環境にもよると思うわ……櫻子さくらこさんという23歳のお嬢さんもいると聞くし……」


 げっ!! コブツキかよ!! 俺もコブだけど……俺は、なんとか、粘って、虎太郎の件が通らない限り、この話は反対だと意見を譲らなかった。


 夕食後母さんは、太蔵氏に電話をしたようだ。

 結果、いとも簡単に俺の計画が上手くいったんだ。


 上京時に、虎太郎もいっしょに連れて来て良いことになった。

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