第2話
憂鬱な気分で屋上を後にして教室に戻ると、お昼休みも残り五分程で、また貴重な時間を無駄にしてしまった事にショックを受ける。
告白する行為自体に否定はしないけれど、お金や躰目当てといった欲望剥き出しで「付き合って下さい」なんて言われて嬉しい女の子がいると思う? その為に足を運ばされたのだから無駄だと思っても仕方ない。
その上、一度だけ私を堕とせるかという賭けの為だけに『嘘告』をされた事もある。
その時はさすがに怒りの感情が沸いてきたけれど、男性恐怖症が災いして強く出られず泣き寝入りで一日学校を休んだ。
翌日登校すると、賭けをしていた男子生徒たちは軒並み謹慎処分されていて、その理由を訊いて私は愕然とした。
表向きは『個人の人権の迫害行為をしたのだからしっかりと反省させるため』で、真の理由は『学校に多額の寄付をしてくれる【漣グループ】トップの愛娘を侮辱した生徒がいたと知られて寄付を打ち切られることを恐れたから』だったのだから。
本当に寄付を打ち切ってもらおうか、なんて考えても虚しいだけで……。
「あ~やめ!」
「ひゃぁっ!?」
底抜けに明るい声と共に来た軽い衝撃に小さく叫んだ。
「もうっ! 急に飛びついてきたらびっくりするじゃない」
「えへへぇ」
私の胸にしがみ付いてはにかむ少女の頭を撫でながら注意すると、目を細め頬を緩ませ幸せそうな彼女の姿に癒される。
「全く。どうしようもない奴だよなぁ、こいつは」
そんな私たち、というより彼女に呆れた声を上げやってきた少女は言葉とは裏腹に微笑ましく見ていた。
「そんことないよ? 構って欲しくてじゃれ付く仔犬みたいで可愛いです」
「確かに! そう言われると犬耳とぶんぶん振られる尻尾が見えてきた。さすがワン
「むぅ~っ! 二人ともひどぉ~いっ!!」
未だしがみ付きながらも頬をパンパンに膨らませて抗議する姿も愛らしくて二人して笑いながら彼女に頭を下げる。
私にしがみ付いている彼女は
小柄で柔らかなショートボブにくりくりと大きな瞳が特徴的な幼い顔、人懐っこく天真爛漫な彼女には申し訳ないけれど『ワン娘』の愛称はぴったりだと思う。
そして、私の隣で心陽さんをからかっているのは
金髪色白で制服をお洒落に着こなす典型的な美人ギャルな彼女は、その見た目と言動とは裏腹に心優しく乙女な一面を持つ可愛い人。本人の前で言ったらすごく怒られるけれど……。
そんな二人とは中学の頃からの付き合いで大切な親友たちです。
「羽田だったか? 今日告白してきたヤツ」
「え? はい」
急な潤さんの質問に首を傾げつつ肯定すると、彼女は渋い顔をしながら耳元に口を寄せてきました。
「アイツ、先月まで彼女がいたんだけど、複数の女と浮気していたことがバレて別れたってよ。そのうちの一人がアタシの知り合いだから間違いない」
「うわぁ……」
本当に人は見た目にはよらないって事でしょう……。
再びげんなりしてきたところで大きな声が聞こえてきました。
「お、おいっ! 俺たちのジュースを今すぐに買ってこいっ!!」
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