姐さんなんて呼ばないでっ!

子乙女 壱騎

第1話

「さ、さざなみ綾女あやめさんっ! 一目見た時から気になっていました。お、俺と、俺と付き合ってくださいっ!!」


 誰もいない屋上に呼び出された私は、知らない男子生徒から告白されている。


 高校入学してから三ヶ月。

 その三ヶ月の間にこうして呼び出されること十五、いえ、二十回は超えているかもしれない。


 目の前の彼は一体目的なのか……。


「えっと、羽田はたくん、だったよね?」


「は、はい」


「お返事の前に一つだけ訊いてもいいかな?」


 顔を真っ赤にして純情そうな男の子だけれど、今までにも少なからず彼と同じタイプの人もいたから油断はできない。


「貴方は私に一目惚れをして、告白してくれたの?」


「そ、それは……漣さんに、君に惹かれて好きになったから!」


 うん、もうわかった。

 やっぱり彼もだった。


「ごめんなさい。私は貴方とは付き合えません」


「え? ちょ、ちょっと!?」


 私は羽田くんに断りの返事をすると、踵を返してさっさと屋上を後にした。

 彼が何か言っていたようだけど、今まで私に告白してきた人たちも似たようなものだったから気にせずに立ち去る。



 私、漣綾女は【二大財閥】の一つ、『漣グループ』総帥の娘。所謂っていう立場。

 だからと言うべきか『高嶺の花』と持て囃されるけれど、私はその評価が切り捨てたいくらいにだ。

 それはあくまでであって、から。 

 そして、自分では判らないけれど「可愛い」や「美人」とよく言われる。

 告白される時にも言われる言葉フレーズではあるけれど、向けられる視線は主に『胸』や『太腿』や『お尻』。

 あからさまに向けられるのも大概だけど、羽田くん今日の彼のように私のを見ているように見せかけてに集中する男子もいる。

 つまり、私に告白してくる男子は『逆玉』……輿かのどちらかで、悲しいよりもウンザリする。

 極めつけに私は小学生の頃に誘拐されたことがある。

 もう顔も忘れてしまったけれど、幼稚園の頃から仲良くなった子と遊んでいた時に車で拉致された。

 どうやって助かったのかは私は、誘拐それが原因で男性恐怖症でもある。


 告白される度に震える躰に気付かれないようにするのに苦労していた。


 ちなみに私を誘拐した犯人はパパに首切りされた子会社の元従業員の人で、クビにされた逆恨みで犯行に及んだらしい。


「はぁ……」


 思い返すだけで溜息が出た。


 パパやママには感謝しているけれど、羨望の眼差しで見られるけれど、むしろ私は家に生まれたかった……。

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