出会い
次の日の放課後、学はイタミに指定された学校の近くの公園にいた。偶然にも学がシュート練習をしている場所だった。イタミからはここで待っていれば別のメナ星人が来ると言われたが、学はイタミ以外のメナ星人の存在は聞いたこともない。本当に来るのかと思いながらベンチで待つしかなかった。
改めて公園を見渡すと季節は秋になっており、心地いい気温だった。昨日は緊張でよく眠れなかった学は、椅子に座ると急激な睡魔に襲われる。
一瞬眠って目を覚ました学は慌てて時計を確認する。幸い約束の時間の五分前だったので学は安心した。冷静になり、周りを見渡して学は声を上げそうになる。ベンチの隣に人が座っているのだ。人が座っているベンチを選んでわざわざ座る人はそうはいないのだろうと思い、学は混乱する。
「声を掛けようと思ったのですが、気持ちよさそうに寝ていたし、まだ約束の時間になってないから、隣に座らせてもらいました」
「え、あ、はい」
急に声をかけられた学は、反射的に相槌をうつ。数瞬して女性の言葉を理解し、驚愕する。
「約束の時間?」
「あなたと会う約束をしていたはずです。イタミに聞いていませんか?」
女性はそう言って学の方を向いた。
「私はメナ星人のニエモ、よろしくお願いします」
あまりの衝撃に学は頭が真っ白になる。眼の前にいる人はどう見ても人間にしか見えなかった。それでも、その女性の醸し出す浮世離れした雰囲気から、本当にメナ星人である可能性を否定もできず、失礼な態度を取らないよう学は必死で頭を回転させる。
「……こんなに可愛らしい方が来るとは思わなかったです」
やっとのことで学は返事をする。気取った言い方になってしまったが、ロボットのボディが来ると思っていた学にとっては本心だった。
「あら、可愛らしいなんて、お上手ですね」二エモはニヤリと笑っていった。
「驚くでしょうが見た目のことは余り気にせず、この方が何かと都合がいいのです。それよりも、本題を話しましょう。お忙しいところ来てもらっているわけですからね」
気になるところはいくらでもあったが、学は二エモの言葉に頷くしかなかった。
「イタミからお願いがあるということは聞いていますね」
「ええ、内容は知らされていないですが」
「なるほど、では単刀直入に言いましょう。学君、もう一度バスケットボールをして、政治代理スポーツ大会でメナ星の未来を決めて欲しいのです。」
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