女神様との約束 《サラ》

 ◇◇◇


「は、背後霊?」


「そう! あなた達に授ける能力は背後霊によるものが一番良いわ!」


 女神様の言っている事がいまいち分からないのは私だけ?

 女神様の旦那さんも『うんうん』と頷いているし。


「ニャン太郎ちゃん、女神様の言っている事の意味分かる?」


「女神様のお考えなんて小さい猫の俺に分かるわけないだろ」


 そうだよね、でも女神達が『背後霊』の話題で盛り上がっているから聞くに聞けない。


「あなた達に授ける能力が決まったわ! サラ、あなたには時間を操る能力、そして猫ちゃんには自在に爆弾を作れる能力を与えるわ!」


 じ、時間を…… 操る? 爆弾を作れる? 背後霊に何の関係があるんだろう…… ただ、女神様の旦那様は拍手しながら『痺れるぅ!』とか言ってる……


 でも、そんな力を与えられても困るよ…… ただ私はカイトくんとやり直せるならそれだけでいいんだけど。 


「あら、女神である私がタダでタイムリープさせてあげるとでも思っていたの? 確かにあなたは可哀想ではある、でもあなたは暴力によって人の命を奪いかけたのよ? そんな人間、本来なら神の救済や私の加護なんて受けられないの」


 カイトくんがおかしくなった原因が全て分かった今となっては…… 私のした事は到底許される事ではない。


 そんな事くらい分かってはいる…… でも、じゃあ何故私を救済するためタイムリープさせるとか、女神様の加護を与えるとかいう話になったんだろう?


「だからサラ、あなたには贖罪として私の頼みを聞いてもらうわ」


 えっ? 女神様の…… 頼み?


「実はね、あなた方がいた世界はもうすぐ消滅してしまうかもしれない危機にあるの」


 せ、世界が消滅!? モヒカンだらけの世界になったり、もしかして綺麗な花火になっちゃうの?


「どちらかというと汚い花火ね…… あなた達の世界を管理していた神『パピィ』が闇に染まって邪神になりつつある状態なのよ」


 邪神…… 何だか恐そう……

 

「パピィは元々ムッツリスケベで変態で、でも争い事が苦手な温厚な神だったんだけど、とある邪神に唆されて…… 変な趣味に目覚めてしまって、今あなた達の世界は危機に瀕しているの」


 私達の世界の神様ってムッツリスケベの変態だったの!? 何か嫌だなぁ…… 


「それでそのパピィを唆した邪神というのが…… 元々ヨォム様の下で仕えていた下級の『ザーマ』という神…… いや、もうヨォム様を裏切って邪神となってしまったけどね」


 そ、そうなんだぁ…… で、私はどうすればいいの? 力を与えられたところで…… 神様をどうこう出来るとは思えないんだけど。


「あなたに与える力程度じゃ神には敵わないわ…… でも『ザーマ』は自分の欲望を満たすためにあの世界の人間も唆して狂わせようとしているの、そしてそんな事を放置しているうちに世界は狂った人間で溢れかえってしまい…… そして最終的に世界は滅びてしまうわ、だから…… ザーマに狂わされた人間を見つけ、私が与える力を使って、ザーマの力を無効にして欲しいの、それが私の頼みよ」


 そんな事、私に出来るのかな?

 私は臆病だから恐くて立ち向かえないと思うんだけど……


「もしこの頼みを聞けないというのならタイムリープの話も無しで、そうなるとあなたと最愛の人の魂は二度と巡り合う事はない運命にあるわ」


 そ、そんな! カイトくんと二度と巡り合えない!? 生まれ変わったら今度こそずっと一緒にいたいと思って私は…… あんな酷い事をしてしまったのに!


「神様…… 自分がお嬢ちゃんの仕事を手伝いますのでぜひやらせて下さい! よろしくお願いいたします!」


 ニャン太郎ちゃん!?


「お嬢ちゃん…… 今度こそカイトときちんと向き合うんだ、そのためにはまず一緒に過ごす世界を守らないとな、なぁに、俺が憑いていてやる…… じゃなくて付いていてやるから心配するな」


 背後霊だけに憑いてるってこと? ニャン太郎ちゃん、猫なのに言葉遊びが上手だね……


 でも、ニャン太郎ちゃんが一緒にいてくれるなら…… 私は……


「話は決まったみたいね、じゃあ早速力を授けるわよぉ…… むんむんむぅーん…… てぇぇーい!!」


 ぴゃわわわわぁぁぁぁ…………


 わぁぁぁ…… んっ? ただ眩しいだけで特に何も感じない……


「ふぅ…… 完成したわ! 背後霊といえばお面! このお面に私の力を込めたわ!着けると力を使用出来るようになっているから、上手く使って立ち回ってね」


 えっ…… 私の身体に何かするとかじゃなくてお面を着けるんだ……


 しかも『ひょっとこ』のお面を着けるの!? や、やだなぁ…… ちょっと恥ずかしいよ……


「ひょっとこをバカにするものはひょっとこに泣くと言ったでしょ? まあ、顔に着ける動作をすればお面がスッと消えて見えなくなるようにしておいたから心配しなくても大丈夫よ」


 よ、良かったぁ…… ひょっとこのお面を着けながら色々しなきゃいけないのかと思った……


「あと、むやみやたらに力は使えないわ、あくまで『ザーマの力が及んだ人間』にしか私の与えた力は使えないって覚えておくのよ? さて…… ついでにサクッとタイムリープもしちゃいましょうか! サラ、ニャン太郎、世界を頼んだわよ」


 えぇぇー!? こ、心の準備がぁぁぁ…………


 …………

 …………



 ◇◇◇



「あれが女神様の言っていた『ザーマの力に狂わされた人間』ってやつね……」


「ああ、間違いないぜ、お嬢ちゃん…… 心とお面の準備はいいか?」


「うん、バッチリだよ、カイトくんと平穏な生活をするためなら…… 私は何だってやるわ!!」


「じゃあ行くぜ、お嬢ちゃん!! ウニャニャアァァァー!!」


「時間よ…… 止まって!!」




 …………

 …………




「ふふふっ、おまたせ、カイトくん」

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