5番目の命令
秋桜みりや
第1話
おかしなことに、噂のご令嬢はまだ僕のそばにいる。
きっかけは、きっと偶然。たまたま見かけた同じ学校のさえない僕に、命令を5個聞いたら開放すると言われた。これは口に出しては言わないけれどパシリ。
命令といえば、あるときは購買の限定あんぱん争奪戦に巻きこまれた。僕は鈍くて達成まで2週間かかった。またあるときは屋上でお昼を食べたり、河原を延々と歩かされたり。さらには体育館裏に呼び出された。
何をしたいんだかわからない。呼び出されたところで大した話ではなくて。どこの情報かわからないけれど、庶民の生活を再現しているんだろうか?
今日も呼び出し。場所は放課後の教室。また前回と同じ感じだろうなと思って僕はなんの準備もしないまま待ち合わせ場所に来ると、もう彼女は来ていた。
「話があるんだけれど」
「はい」
今度はご両親の会社の歴史でも話してくれるのかと思った。
「命令よ。私と付き合いなさい」
「……はっ?」
「聞き返すなんて失礼な人ね」
「いや、だって、あなたが僕と? 何で?」
「あなたは話を何でも聞いてくれるし、居心地がよかったからよ。だからふさわしいと思うの」
それは逆らったら怖そうとかそんなことで。僕は考えるまでもなく結論を口にする。
「それは聞けません」
「えっ?」
「お互い本当に好きになった人とその願いは叶えてください」
「えっ?」
「それじゃあ、僕はもうこれで」
その答えが気に入ったとかなんだかで、その後もなぜかさらに執着された。
命令はきかない。だけれど、たまに話し相手くらいにはなっている。
いつかこの人に、本当に好きな人が現れることをいろんな意味で祈っている。
5番目の命令 秋桜みりや @mrycs0219
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