主人公はとある組織に所属する暗殺者。ある日、彼女は命令された仕事の現場で標的の男性と逃げるという選択肢を取るのですが……。自らの選択に悩み迷いつつも、それでも前を向いて進む主人公の姿が力強くカッコよく描かれており、とても読み応えのある作品でした。
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詩的な描写が細かく、読んでいて情景が浮かんできました。豊かな語彙を巧みに操った文章は詩のような美しさがあり、読み心地も非常に滑らかでした。また、会話文をあえて抑え気味にすることで、作品全体に独自の空気感が漂っており、その演出が非常に印象的でした。
教会の暗殺者キャシディは依頼を受けたら質問を許される事も無く粛粛と暗殺を繰り返す。そう心を持つ事など許されなかったし心を持たない事に疑問を抱く事も無かった… ある依頼を受けるまでは… その男の部屋に忍び込む。だが、彼はキャシディの来訪を知っていたかのように待ち構えていた。 そこから彼女の人生は大きく変わっていく。道具であった彼女は心を意志を持つ事ができるのか?とにかく地の文!描写が素敵!想像力を掻き立てられます。是非ヾ(*'∀`*)ノ
未来は光である。こちらの作者であるMaya Estivaさんが表現する光は多種多彩。例えば、光の透過/照射/反射、それだけでなく、大聖堂の描写を生かすことによって、その陰影との対比により輝きを増したり、また、当然、心情とのクロスリンケージも絶妙なタッチでシンクロさせている。物語としてだけでなく、技法のお手本としても、是非、読んでいただきたい作品である。
組織の命令で暗殺を繰り返していたキャシディが標的だったマキシマスとの出会いを経て、少しずつ変わっていく物語です。まだ自分で決断することに慣れていないキャシディの揺れ動く心理描写や彼女を支えるマキシマスとシルヴェスターの優しい行動の数々がとても素敵です。また、情景描写がとても緻密で想像が膨らみます。読んでいて心地が良いです。言いなりだったキャシディがどのように成長していくか、ぜひ読んで確かめてみてください。