第6話 A組のマリ
「風への対策はどうしたのですか…?」
あれはA組のマリだ…賢くて美人で…。
彼女なら教師も変な逆質問しないだろう。
「原因がわからなかったんだ…。突然吹く風の原因がね…」
「おそらく環境破壊が原因だろうと言われたけれど本当のところは今でもわからない…。ひょっとすると地球は何万年に一度、こうゆう状況になるのではないかとも言われている…」
納得のいかない答えだ。
そう、彼女の質問への回答はどうしたのだろう。
「原因がわからないので、対策の立てようもない…。それより食料の備蓄や災害時の対応に追われたんだ」
生徒達にさらに落胆の色が見えた。
「あの…いつ来るかわからないから常に備えるのではないですか…」
マリは食い下がった。僕やタカだったら無視されただろうな…。
「なんと言えばいいのかな…
食糧の備蓄なら風だけじゃなく地震、洪水などに使えるからね。百年に一度かもしれないものにお金を出すことは議会とかいろいろあって無理だったんだ…」
教師はあまり残念そうな顔や声ではなくそう言った。
僕は子供だからだろうか、マリとおなじく教師の言葉がほとんどわからなかった。
「そして今度は三年後、皆が二度の強風を忘れかけたときまた発生した…」
今度はいきなり表だった。
前回の3倍となる大きな数字があった。
「一か月吹いてやっと止まったそうだ…」
「根本的な対策を求める声が世界に広がったそうだ」
水びたしの街、燃え尽きた森、根こそぎ作物が飛ばされた畑、やせ細った家畜の写真が映し出された。
「強風にあおられた高潮で街が水没したんだ。これは山火事、これは畑、家畜も飼料がなければ…」
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