昔は攻略サイトなんて野暮なものを見ずに楽しんでいた。だが効率的に進めたいのならば、絶対攻略サイトは見た方が良い

フィアナ

育成×RPGゲーム


 あの時ああしておけば、なんて誰でも思うだろう。もちろん俺もだ。


 厨二病真っ盛りの14歳から始め、気づけば16年。攻略サイトもまともにない頃から、俺を魅了して止まなかったあのゲームが終焉を迎えた。


 『アトリエとモンス』


 様々なエリアから素材を集め、そこから錬金術でモンスターを産み出し使役する。まぁよくある育成×RPGゲームだったが、他とひと味違い使える素材のバリエーションと、産み出せるモンスターのバリエーションの多さが凄かった。アップデートする度に増えるそれは、最終的には1億種類ぐらいにはなっただろうか。途中から図鑑集めは半分放棄してしまったので、よく覚えていないが。


 そんな様子なので、だいぶやりこんではいた。だって水ひとつとっても、『井戸水』『雨水』『風呂上がりの水』など色々あったんだ。特に最後の素材は、誰が入ってたものなのか、誰が最初に見つけたものなのか未だに気になってしょうがない。



 そんなゲームが突然のサービス終了。どんなに忙しい時でも、毎日ログインして、毎日錬金して、新しいコを迎えるのを生きがいにしてたのに。趣味を越え、日常に組み込まれてたそれを没収された。

 呆然と端末を握りしめたまま、ベッドに寝転がりそこから覚えていない。そういえば俺、何連勤目だったっけ──?




*****




「わぁ! やったよパパ! はじめてのわたしだけのモンスター!」


「良くやった! さすが私の娘だな!」


 なんて言いながらやけに美形な金髪碧眼の男性が、キュルキュルおめめの小さな女の子の頭を撫でていた。

 分かっている、俺も自分でキュルキュルなんて思ってちょっと鳥肌が立った。だがだいぶ混乱していて、頭が回らなかったらしい。


 原因は自分の姿を見てしまったからだ。もはや転生した、なんて事実が吹っ飛ぶ程に驚いた。インテリ風の男性も、天使のような女の子も自分より遥かに大きかった時点で、怪しんではいたのだが。



 大きな錬金釜に、なみなみと満たされた薬液が写した自分の姿は『ギョロ目太郎』だった。



 何故よりによってこれ!? 確かに1番初めに産み出したモンスターで、思い入れは強いけれども!!

 大人になるにつれて無謀な素材の組み合わせや、変なノリで素材を組み合わせるのはやめていった。それこそ後半は、ドラゴンとか悪魔とかウルフとか、強くてかっこいいモンスターばかりを造っていたはずだ。なのになぜ転生先が、ノリと思いつきで造ったこいつなんだ!!



 隻眼に憧れた俺は、眼を1つにし。

 モンスターと言ったら羽だろ、のノリで翼を付け。

 硬い方が強いはず、なんて素材の相性をまるで考えずに道端の石ころを混ぜ込んだ。



 結果産まれたのがこいつだ。目玉に直接コウモリみたいな羽が生えており、大きさは手のひらサイズ。見た目だけでも弱そうなのに、実態はさらにその上をいく。


 目が1つしか無いために視野が狭く、すぐ攻撃を受けるのだ。

 移動はゴロゴロと地面を転がりながら進む。なぜかって? 混ぜた素材である石が影響して、羽は完全に飾りだからだ。重すぎぃ〜!!

 唯一良い所は、というか唯一残ったのが、この頑丈さという訳である。雑魚モンスターの中ではそこそこ耐久性は良い。




 だかそれを押してもなお致命的な欠陥が1つある。それは──


「よろしくね、メメちゃんっ」


「ふっ、ご主人様マスターの為ならば」




 ジーザス!!! 今なら俺は灰になれる。いやなろう!! さっきの錬金釜ってまだ熱いカナ???




「どうしたのメメちゃん。おなべあぶないよ? それともおなまえきに入らなかった?」


「う〜ん、混乱してるのかも知れないね。ちょっと待ってみようか」


「ふっ、俺様が混乱だと? ご主人様マスターが心配するような事など何も無い」



 いやー!! 誰だこんな命令したヤツ!! 俺か! 俺だな! 話す時は必ず『ふっ』って言わなければならないなんて、そんな設定必要か!? どこがかっこよかったんだ当時の俺!!!



「よかった! メメちゃんこれからよろしくね!」


「ふっ」






 拝啓、14歳の俺。所詮ゲームだからと言わず、はじめてのモンスターに命令するのは、よくよく考えてからにして下さい。10数年後からの俺の切実なお願いです。



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