第23話 夢の国とは

グールの奴、本当に起きもせずにベットに寝たまま話しだした。

4:48。1分経過。

「タクマ、リラを覚えているか?」

「覚えてない。」

「じゃあ、エマはどうだ?」

「エマ?

なんとなくだが記憶の中にエマはいる。

こちらの世界の人間か?夢の国の人間なのか?僕には区別がつかないが

波と音と一緒に記憶が流れてくる。

僕はバスケをエマとしている。

楽しいけどエマが引越す?記憶はそこでいつも途切れる。」

「そうっか。エマの夢を見ていたんだな。」

「そうだ。エマはリラの姉だ。

本来はエマがタクマの婚約者。

結婚相手だった。タクマとエマで夢の国を治める予定だったがエマが

人間の世界に迷い込んだ。

タクマも操れる時間止め。

これは夢の国の王族が使える魔法だ。

ある時、人間の世界からの声を聞いてしまった。」

「誰の声?ミズキだ。小さいミズキが時間を止めてと叫んでいた。優しいエマは、けして干渉してはいけないおきてを破り、ミズキの叫びに答えてしまった。

『どうしたの?』

『鳥が逃げたの。お友達の白い文鳥さん。』

『新しい鳥をあげましょう。』

『ありがとう。』ミズキの言葉と同時にエマだ消えた。

「エマは?エマはどうなったの?」

「夢の王国中、みんなで探したけど見つからない。

そしてお前は『僕が人間の世界にエマを探しに行く』と人間の世界へ飛んだ。

そして境界線を越えた時にタクマの記憶も消えた。そして今だ。」

「エマ。」僕の目から涙が。

「グール思い出したよ。エマのこと。

エマが消えて悲しくて悲しくて。

そんな僕をエマの妹リラが慰めてくれた。

でも僕はどうしてもエマに会いたくて、

人間の世界に来たんんだ。」

グールが羽根を広げ人間の少年に変身。

「だからリラがミズキは絶対にダメ。

好きになっちゃだめだって言ってたわけが

わかったかタクマ。

エマが消えた原因はミズキがつくった。」

「あー、やっと分かった。つながった。

グール、エマはこの人間界にいる。

たぶん一度あったんだ。

今までそのキラキラが、

ミズキさんだと勘違いをしていたようだ。

確かにミズキさんもキラキラ光ってきれいだ。でも違うんだ。

僕はエマに駅で会ってる。

僕の財布を拾ってくれたきれいな人。

エマだ。

肩までかかる髪が光った。

『きれい。』顔は見えなかった。

細い線。エマ。

エマは僕の近くにいる。

エマを探さなければ。」

僕は飛び起きた。「グール、起きろ。行くぞ。」

「タクマ。お前、今日はバスケの決勝の試合だろう。エマが大切なのはわかるが、

今、お前はこの人間界のタクマだ。

夢の国でも同じだ。

王族なら目の前の自分のなすべき仕事をしろ。自分の欲は次だ。」

僕の使い魔グールの羽根が僕の頬をかすめた。

「イタッ。」

そうだ。バスケの試合が先だ。

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