第18話 脳内会話 桐山リラ
『桐山リラ、お前か。勝手に僕の脳内に侵入するな。』
『そんなの私の勝手でしょう。』
『お前は何者なんだ。海で声をかけて来たのはお前だ。
なのに転校日は、はじめましての知らんぷりだ。』
『私にも都合があるの。そこは空気を読んで、スルーするのが夢の国の王子様じゃないの?』
グールがチラリ僕を見た。
制服から出ている羽根をあえてバタンバタンした。
『グール。』まあ、グールは後でいいか。
『それより、僕の正体を知ってるってことは、
桐山も夢の国の住人か?』
『だったらどうなの!』
『いや、別に。ただあちらの世界の記憶がない分、同じ世界の桐山が近くにいることは、素直に嬉しい。』
『タクマ、変なの。』
桐山は照れながら明らかに動揺している。
が僕は桐山に『でも桐山、ミズキさんにちょっかい出したら許さないぞ。』
桐山の表情がすぐさま曇る。
『タクマ。いい加減、彼女、ミズキのことはあきらめた方がいいわ。
そこのカラスもそう言ってたでしょう。』
聞こえてるのか。グールがさっきより激しく「バタバタ」羽根を動かしている。
『グール、何をアピールしてるんだ。そんなんじゃなくて、直接桐山に言ってくれ。
僕はタクマはミズキさんが好きってさあ。』
グールが首を回して僕を見る。
『タクマ、そんな残酷なこと桐山に俺様が言えるわけないだろう。』
僕は突然、時間を止めたくなった。
腰をかがめてバスケのガードのポーズ。
「止まれ。」
全ての時間が止まった。終業式の挨拶も先生達もみんな止まっている。もちろん生徒もだ。
1組のミズキさんを見た。止まってるが、
相変わらずきれいだ。
動いているのは、僕とグールとそして
桐山リラだ。
桐山が動いて僕の前に来た。
「ミズキはやめて。タクマ。
私はタクマが好き。」
僕は不意打ちを食らった。桐山が僕を好き?
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