第17話 終業式とバスケ
今日は終業式。先週の全校集会からあっという間に1週間が経った。
特別変わったことはないが、外の気温は高い。夏本番だ。
グールが「暑い!体育館のクーラーが無ければ俺様は暑さで溶けてなくなりそうだ。」
「タクマ、人間界はこんなに暑いのか。」
「そうだな。夏だしな。」
終業式の中。僕はグールの愚痴を聞かせれた。
リクは?ショウは?
「いよいよ明日は決勝戦だ。なんか複雑だな。」リクが珍しくバスケの試合に真剣だ。
いつもは先輩たちが主役だからさ。
ぼくら2年は来年さ。っていつも他人事のように言ってたくせに。
僕は「リク。どうした?」
ショウも「そうだな、リク何かあったのか?」
僕らはみんなと同じく整列して縦になりそのまま話を続けた。
リクが「今朝、山川先輩と一緒に登校したんだ。山川先輩とは家が近くで小さい頃からよく遊んでいた。僕がバスケをはじめたのも山川先輩の誘いがあったからさ。
山川先輩はほら、僕と同じで背が低いだろう。ポジションはガードだ。
前に一度、山川先輩の弱音を聞いたことがあったんだ。僕が小学6年で、山川先輩が中学1年。その時、背が低かった山川先輩は同じバスケ部で背の高い江島先輩に出会った。同じ歳なのに明らかに背丈が違う。
バスケやめようと思ったときに江島先輩が話しかけてきたんだって。
『僕は背だけは高い。でも動きが遅い。こんなんで、バスケできるかな?』だって。
背の低い山川先輩は悩んでいるのは自分だけじゃない。自分には無い背の高さを持つ江島でも悩んでいる。それで吹っ切れたって。
それぞれが持っている力をそれぞれが全力出せばチームで勝てる。そう思ったんだってさ。」
僕は「そっか。なんかマンガの青春ぽいな。」
ショウも「だなタクマ。でもその青春ぽいバスケに僕らもハマってる。」
リクもうん。うん。と首を縦に。
僕は「明日は全力で勝とう。仮に出れなくても。一生懸命に応援しよう。」
2人と少し遅れてグールもうんと縦に首をふる。
そして右手奥。1組のミズキさんが見えた。
相変わらずキラキラ光って見える。
僕だけにか?
『な訳、ないでしょうタクマ。』桐山リラの声が僕の脳内に届く。
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