一章 二丁 無人の村
賑わっていたであろう街道は、
人のいない屋台は
全ての商店の品物が、乱雑に捨て置かれた様を横目に見つつ、坂田はまだ調べ終えていない
そして、
「何だこの村は?
主人である坂田の問いに速やかに答えず、六
大男こと名を
「何かの妖術か…
「収穫目前の田畑に手も付けず、上物の品々も置き去りにして村を出るだと?」
万雷の的を
「時を無駄にしたくはない。 あの橋を調べる」
万雷は又もや髭を撫で、退屈そうに坂田の元へ歩み、その視線の先にある大通りに架かる
大男である万雷が隣りに並ぶと、坂田の背丈は更に小柄に見えてしまうが、刻一刻と落ちる太陽の強烈な日差しを遮るのに、万雷の体格は丁度良い
「橋を渡り村を抜けたや否や、あの橋が必ず眼前に現れるのだ。 何か
坂田の視線の約50m先には、小川に分断された大通りと通りを繋ぐ太鼓橋が架けられている。
人が二人並んで歩ける幅の小さな緩やかな曲線の橋だが、
「はぁ、思い違いでは御座いませんか? 橋など、どれも似たものでしょうが」
片眉を上げ、考え過ぎだと言わんがばかりに呆れ顔で物を言う大男に、坂田は眉間に
「お前の剛胆さには、ほとほと呆れる。 同じ景色が三度現れれば
「はっ」
万雷の返事だけは威勢が良く。足取りは何処か面倒臭そうに、大股で上半身を左右に揺らしながら、しぶしぶ橋へ向かって歩き出す。
しかし、数歩歩いただけで足を止め、
妙な姿勢のまま動かなくなったその姿に、また坂田の眉間に深い皺が走る。
「うむ? しかし若。 何かおりまする!」
万雷が背筋を伸ばし、指を差し示した先には、つい先程調査を命じた太鼓橋があり。この景色と出会ったのは三度目になるが、今までと別段変わったものはない。
偽りではないその様子に、坂田自身も万雷に
今の刻は西日照りで特に橋の辺りが見え
だが万雷は視力が他の者より優れているのか、ずっと坂田や集まって来た仲間達によく見ろと言いたげに、地蔵の場所を指差し続けている。
元より地蔵がある事は、この場の全員が知っていて、その先入観が邪魔になっているのも手間取る理由の一つだろう。
刻々と日が落ち、山が日差しを少しばかり和らげたお陰もあるのだろうが、目が慣れれば唐突に見える事もあるものだ。
地蔵の真ん中に、地蔵よりも小振りな背を丸め屈み込む、人の後ろ姿の様なものがある。
万雷が言っていたのは、地蔵や橋ではなく。あの人物の事だと坂田は認識したと同時に、自然と足は地蔵の元へ、もう歩を進めていた。
©️2025 嵬動新九
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※この作品はフィクションです
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