僕のゲームソフトたちに生えたふわふわの羽

もち雪

第1話

 ある日、小学生の僕のゲームソフトのパッケージにふわふわとした羽がはえていました。


 慌ててゲームソフトの箱の中を確認すと、ちゃんとソフトは入っています。しかしその回りにキラキラ光る羽が。僕がそれを摘まむと、羽はキラキラ光ながら羽の先から消えていくのです。


 とてもきれいで不思議な事が起こり、僕はとってもワクワクします。


「お母さん、見て!  ゲームソフトに羽が生えたよ」  

   

「よくわからないけど、新しいソフトはそんな事も出来る事も出来るようになったの? ちょっと見ていい?」


 お母さんには、今、僕のまわりに飛んでいるゲームは見えないようです。


「うん……、秘密!」

 そう言ってなぜか、2階の僕の部屋へと走って逃げました。

 

 それからというもの欲しいゲームの発売日には、僕のゲーム機の中に欲しかったゲームがダウンロードされているようになりました。

 

 ーー嬉しいけれど、お金はどうなっているのかな? そう考えると、ちょっと心配になりました。


「お母さん、ゲーム……」

「あっ、竜也たつやのゲーム機?、お父さんが『やりたいゲームを買ったから時々貸してね』て、言ってたわよ」


 そうやって何かしらの理由があって毎回、僕のもとへゲームはやって来るので、その度に僕は「やったー!」と、言って手をあげて喜びます。


 よく見ると題名のところにもふわふわの羽のマークも付いていて、とっても不思議だけれど、とってもうれしい毎日になりました。


 それからは、ゲームたちが勝手に僕の元に集まって来るのです。

    

           ☆


「竜也! ゲームばっかりやってないで、勉強をしなさい!」


 ある日夜、僕を見てお母さんはそう言って来ました。


「もうちょっとでクリアーだから、ちょっとだけ……」


「絶対? 約束よ」


「わかった! 約束する」


 そしてクリアした僕は、ゲーム機のスイッチを切りました。


 ーーあぁ、楽しかった。もう9時か……、勉強は明日でいいや。

 そのまま僕は、温かいお布団の中へ入り、眠ってしまったのです。


 しかし次の日のからゲームソフトは僕の前から逃げ回り、逃げないゲームをしようとすると、「勉強をしなさい!」と、言われてしまうのです。


 ある時は、「おばあちゃんから電話よーー」と、いつも邪魔が入ってゲームが出来ないようになってしまうだなんて……。


 ーー何で、僕のまわりからゲームが飛んで行ってしまうんだ!?  でも、僕はハッとひらめいた。一階にあるパソコンのゲームなら出来るかもしれない。


 慌てて1階へ行くと、パソコンの前にはお母さん。

 そしてそのまわりには、僕から飛んで行ったゲームたちがお母さんの肩に乗ったり、まわりを楽しそうに飛んでいるのです。


「お母さん何しているの?」

「えっ? ゲームよ。一緒にやる?」

「うん……」


 僕は2階へ歩いて行くと、お母さんのやっていた僕のゲームソフトも、一緒に飛んで付いて来て、ゲーム機にささります。


「結局、お前たちは僕よりお母さんの事が好きなのか……」


 ちょっとだけ久しぶりのゲームは楽しいけど、ちょっとだけ楽しくはなかった。


 それから僕はゲームたちにお母さんより好かれるように、ゲームをしているけれど、どうすればいいかわからないし、お母さんのまわりで楽しそうに飛んでいるゲームを見るとちょっぴりゲームが嫌いになってしまいました。


      終わり

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僕のゲームソフトたちに生えたふわふわの羽 もち雪 @mochiyuki5

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