第241話 女性悪魔グレモリー

「あらあら、ご主人様いけませんわ。そんな低級悪魔とお戯れになっては」


そんな声がしたので、私はその方を四つん這いになりながら見た…。


そこには、紅い髪をショートカットにした女性が立っていた…。


褐色の肌に、パッチリとした瞳、とても長い睫毛…。


鼻筋は通っていて、、唇はとてもセクシーでポッテリしている。


胸元が大きく開いたボディコンみたいな女性用のスーツを着用している。


スカートはとても短く、レースが編み込まれた大人なパンティが見えていた。


胸も翼さんより遥かに大きかった…。


素足に、とても高いハイヒール、いやピンヒールを履いている…。


見た目はセクシーな大人なお姉さんと言った風貌だが…。


ここは魔界と限界の次元断層。いわば異界化した世界…。


普通の人間が、ここにいれるわけがないのだ…。


あれは悪魔だ…。私は即座に直感した…。



「ご主人様、すごい探しましたよ?まさか家出して天使と住んでるなんて」


私を探していたのか?あの悪魔は…?


セクシーな女性の姿をした悪魔は、散歩でもするように悠然とこちらに向かってきた。


ネバネバな触手まみれの道路も難なく歩いてくる。


ピンヒールに踏まれた触手は、嬉しそうに色を変えて分泌液を噴射した。


その女性悪魔の足に液体がかかりそうになるが、そうはならなかった。


見えないバリアでもあるようで、液体がかかる瞬間に消えてしまうのだった。


「まったく悪魔になりそこないめ!」


女性悪魔はピンヒールで触手を踏み潰した…。


ぴっぎゃぁっぁん!という悲鳴が響いて、触手たちは消えてしまった…。


たったひと踏みで、女性悪魔の周りの触手が消えてしまったのだ…。


なんか、可哀想になってしまう。


「申し訳ありませんご主人様。私の魔力につられてこんなに低級悪魔が現界してしまって」



あなたにつられて、触手たちはこの世界に来たのか…。


私の身体に絡みついている触手たちはいまだ健在だった…。



触手たちは命の危険を感じたのか、私の身体を一段と弄り始めた…。


あの悪魔に見られながら感じるのはずかしすぎるぅ…。


「うっふふふ、快楽に身を委ねるご主人様も大変可愛らしいですよぉ」


あぁっぁん、見てないで助けなさいよ、この悪魔!?


「そのまま、快楽に溺れて、私わたくしと再契約しましょうご主人様」


そう言って、ついに私のそばまで来た女性悪魔…。


私は断片的に思い出した。この悪魔は私が魔界で初めて契約した悪魔だ。


その名を七十二柱の悪魔グレモリー…。


駱駝に乗った貴婦人の姿をしているという悪魔…。


今は現界しているので、ボディコンスーツを身に纏っているが…。


豊満な褐色の肌の紅い髪の女性悪魔に確かに見覚えがある…。


「うふふふ、記憶喪失だというのは本当らしいわね…」


女性悪魔グレモリーは艶然と嗤う…。


「でも、やっと私のこと思い出しくれましたね、ご主人様…」


グレモリーは、ペロリと舌舐めずりして私を見下ろすのだった。

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