◇閑話◇ 「スクーン宮殿」の裏話 ~「城」と「宮殿」の違い~

 今回は「スコーン」の語源に登場した「スクーン宮殿(Scone Palace)」から、「城」と「宮殿」の違いについて、ちょっと考えてみようと思います。


     ☆


「スコーン」の語源について取り上げた際、「スクーン宮殿」という言葉が登場したかと思います。「スコーン」の語源を調べていると、一説に関連していることもあってよく出合うことのある固有名詞です。


「スクーン宮殿」の英語のつづりは、「Scone Palace」です。

「palace」は「宮殿」や「公邸」「官邸」などと訳されますから、日本語では「スクーン宮殿」と訳されているのが一般的です。

 しかし、ある資料には「スクーン」と訳されていました。


 一見、些細ささいな違いのように思いますが、「城」と「宮殿」では意味が違います。辞書の内容を引用いたしますので、比較してみましょう。


**********

【城】『新明解国語辞典 第八版』より引用

 防御・攻撃の拠点として築いた堅固な施設(建造物)。


【宮殿】『新明解国語辞典 第八版』より引用

 天皇・国王などの住む御殿。

**********


 このようにあります。

 そのため、「城」と表記するか、「宮殿」と表記するかで意味が違ってきてしまうのです。


 皆さんご存じの通り、英語で「城」は「castle」と書きます。

 ですが、「Scone Palace」は「palace」ですので、「城」と訳すのは難しそうです。また「Scone Palace」の役割や建築の目的などを調べてみましたが、貴族の邸宅としての意味合いが強く、「城」のような役割や要素はほとんどありませんでした。


 資料を書いた方がどんな意図を持っていたのか、それとも単なるミスなのかは分からないのですが、上記の理由を考えると「Scone Palace」に関しては「スクーン宮殿」と表記したほうが適切かなと思います。



〈補足〉

「城」と「宮殿」をはっきり区別できない建築物もあると思うので、上記の考え方が全てのお城や宮殿に当てはまるとは限らないとだけ申し添えておきます。

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