鬼模様、人間模様、さらに台湾の歴史や風俗や信仰・儀式が濃密に絡まりあった、大変面白い作品です。
近年映画やゲームで台湾ホラーが話題作にあがるのをちょくちょく見ますが、この作品が紹介してくれるような、豊かな「怪の文化」があるからこそと納得。
わたしは残念ながら、現代中華圏の小説をあまり目にしないので、縊鬼が現代でも活躍している話に少し感動してしまいました。
(縊鬼は生者にとりついて首を吊らせる鬼、幽霊)
昔の中国を舞台にした作品を書いている日本の作家さんは多いのでそこで目にすることもありますが、現代においても尚も活躍しているのを見るのはこちらの作品が初かと。
語りも秀逸で、解釈によって盤面がひっくり返る話が結構あるから、そういうミステリが好きな方も楽しいんじゃないかな。
日本だと鬼と幽霊は分かれてますが、中国語だと鬼は幽霊を含みます。
先にあげた縊鬼だの、取り立てに来る債鬼だの色々あってバラエティーに富んでいる。
日本だと、幽霊を分類した名称ってあまり聞かないので、そういう違いも楽しいですね。
「幻獣図鑑」なども存在してるのを承知の上で言いますが、分類して様々な名称をつけられるくらい鬼(幽霊)が多彩ということは、やはり幽霊はいるに違いない!
これは現在、台湾に住んでいる日本人の
作者の長きに渡る異国での生活で見聞き
した、
ちょっと珍しい『台湾怪談』だ。
台湾と言えば、日本とは古くから縁のある
東南アジアの島国で、今でこそ旅行客に
最も人気の高い国の一つである。一方、
台湾怪談について、これほど身近に詳細に
記した本があっただろうかといえば、余り
見た事がない。
台湾人作家が書いた『怪談』は勿論あるが
この作品は、日本人としての作者が感じた
異国の幽霊や怪異に対する 驚き の様な
ものも併せて感じられるだろう。
その分、身近に感じられるのか。
台湾は、言わずと知れた道教の国であり、
趣は違えど日本同様に寺が多いが死者を
祀る方法も違えば 死者そのもの への
考え方もかなり異なる。
死者=『鬼(グゥイ)』という。
鬼は至る所に存在する。夜市や燈籠の陰に
線香の濛々と煙る寺の片隅に、そして
近代的な街の雑踏の中に。
美しい文化と恐ろしい話を具に味わえる
とても貴重で秀逸な怪奇譚と言える。