第11話 好きって言わせたい!
私は悪いお姉ちゃんである。
あれだけお姉ちゃんぶっといて、私はホタルにあることが言わせたくなっていた。
「ホタル、シュークリーム食べる?」
「んー?」
私は、リビングのソファーでくつろいでいるホタルに声をかけた。一人で食べても良かったのだけど、私はあえてホタルと一緒に食べることにした。
「このシュークリーム美味しいんだって。クリームがぎっちり入ってるみたい」
「へぇー」
「足冷えるからブランケットかけたほうがいいよ。一緒に入ろ」
「……」
ホタルはとても不思議そうな顔をしているが、私を拒絶する様子はない。
私ね……! この前のラブレター事件のとき聞き逃していなかったよ。
こいつ、学校で私のことをお姉ちゃんって呼んだ! あんたとかお前じゃなくて確かにお姉ちゃんって呼んだ!
ホタルが呼んだ! ホタルが呼んだよ!
そのあとに馬鹿とか死ねとか言われたような気がするけど、そこは一旦忘れてやろう。
「なんなのいきなり。気味が悪い」
「別にいいじゃん。双子なんだから」
「ふーん……」
一緒にシュークリームを食べながら、ぼーっとテレビを見る。
私、もう一度
というわけで、ホタルのことを甘やかし作戦実行中である。
「ね? シュークリーム美味しいでしょ」
「うん、甘くて美味しい」
ホタルが大事そうにシュークリームを食べている。
顔を見ると、口元にクリームがついていた。ぷぷぷ、学校ではこういう隙を絶対に見せないのに家だと結構抜けているところがある。
「ホタル、口にクリームついてるよ」
「えっ?」
「はむっ」
私はホタルの口元のクリームを反射的に食べてしまった。
「!?!?!?!?」
ホタルがのけぞるくらいびっくりしてブランケットから飛び出す!
「な、なななな!?」
「あ」
ホタルの反応を見て異常なことをしてしまったことに気がついた。
や、やっちゃったあああ! 物理的な距離が近いから思いっきり油断した。猫がじゃれあっているみたいにぱくっとホタルのクリームを食べてしまった。
ホタルが思いっきり引いてるよ、どん引いている。
「まぁ~、双子だからちゅーくらいは普通っていうか……」
「……」
自分でも分かってるよ。言い訳になってません。ほら、ホタルがゴミでも見るかのように私のことを見――。
「うぅ……」
ていない。顔を真っ赤にさせて、体を小さく震わせている。
「ホタル?」
「あ、あんた! い、いいきなりなんてことするのよ!」
「あははは~、距離感がバグっちゃって」
「ば、ばばばバグって!」
「別にそんなに嫌がらなくてもいいじゃん。双子なんだから、自分にちゅーするようなもんでしょ」
「どんな理屈よ!」
はい、誤魔化しきれてません。これじゃホタル甘やかし作戦大失敗だよ。
「もぉ……」
ホタルがぶつくさ言いながらも私の隣に戻ってきた。あれ? そのまま部屋に戻っちゃうかもと思ったのに。
「DVD見る? お母さん、水戸黄門借りてきてたみたいだよ」
「う、うん」
ホタルが私にブランケットをかけ直してきた。
や、やっぱりホタルの私への態度が軟化している! 前にこんなことあったら、言葉の暴力でメタメタにされていたはずだ!
(なんとか好きって言わせる方法ないかなぁ……)
嫌いじゃないって言ってもらうだけで私は嬉しいんだけどな。
「あんた時代劇にハマってたでしょう?」
「そうだけど水戸黄門はそんなに刺さってない……」
「めんどくさ」
言葉では冷たい態度を取っているが、表情は怒っているように見えない。
(うむむむ……)
どうやったらホタルのツンを粉々に破壊できるのだろうか。大大大ッ嫌いから、大大大ッ好きにしてやりたいのだが。
「本当にもう……」
ホタルはクリームがついていた場所をずっと手でさすさすしていた。
◇
青い空! 白い雲! そしてじめじめした空気…灼熱の太陽……。
「暑ぅ……」
一学期最終日。
夏休み直前で、気候は暑さ最高潮になっていた。
朝からじめじめして気持ち悪い……。
朝、登校しているだけで既に汗がびっしょりだ。
「暑い暑いうるさい」
「だってぇ……」
今日もホタルと一緒に登校中。
自分も額に汗をかいてくせに余裕ぶってやがる。
「ところで、あんた明日から予定あるの?」
「特にないけど……」
「あのさ、あんたが暇だったらでいいんだけど」
「んー?」
「良かったら久しぶりにプール行ってみない?」
……。
……。
暑さで頭が上手く働かない。
え? 私、ホタルに遊びに誘われた?
「別にあんたと行きたいわけじゃないからね。暑いから久しぶりに行きたいなって思っただけ」
ホタルが目を合わせずにそんなことを言ってきた。
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