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第40話
晴仁はスパイウェアはデマであり根拠がない、と堂々と世間に発表した。
信用棄損罪、偽計業務妨害罪での告訴も同時に発表した。書きこみした人物を特定し、損害賠償請求を行うとも述べた。
炎上のきっかけになった書き込みは社員が特定してくれた。
そこからは晴仁が秘密裏におこなった。
IT会社にネットを利用した攻撃をしかけるなど愚の骨頂。それを知らしめてやる。晴仁は怒りに燃えていた。
違法だろうが、かまわなかった。
書込みされたパソコンをネットから特定し、海外のサーバを経由してハッキング。中身を覗き、持ち主を特定する。
和未の証言から蒲谷の関与が疑われたので、蒲谷あるいは蒲谷の周辺の人物との連絡の履歴を確認する。
メッセージのやりとりをひっぱりだし、蒲谷本人が関与している証言を見つけた。
晴仁は蒲谷のパソコンにも同様にハッキングをかけた。
児童ポルノ画像が多数あり、吐き気がした。
こいつの罪も徹底的に暴く必要がある。
晴仁は念入りに海外のサーバをいくつか経由し、再度、権蔵のパソコンをハッキングした。
誤送信を装い、権蔵のパソコンから警察にメールを送る。児童ポルノの画像、デマを指示するメールのスクリーンショットを添付した。
後日、蒲谷権蔵の自宅に警察の捜査が入った。
児童ポルノの所持、石霞エンジニアリングへの妨害工作が発覚し、逮捕された。
また、多額の損害賠償を請求されることを怖れた書込みの実行犯が何人も出頭してきた。
スパイウェアの疑惑は消え、毅然と対処した石霞エンジニアリングの評価は上がった。もちろん、晴仁のハッキングは露見しなかった。
和未の父、継母、異母妹の三人は警察からの書類送検を受け、起訴が決まった。
このまま有罪だろう、と弁護士は晴仁に言った。
達弘が経営していた会社は将吾が買い取り、達弘は社長を解任された。
達弘たちはこの先、苦しい生活を強いられるだろう。
知ったことじゃない、と晴仁は思う。和未が長年受けた苦しみに比べたら、こんなものでは足りないくらいだ。
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