02-04:えっ?

 ……目と口を丸く開けて、ぽかんな仁科さん。

 蔭山さんも先生も無言。

 歓迎ムードでぽかぽかしてた部室内の空気が、急に冷めていってる。

 な……なにかおかしなこと言ったかな?


「あの、灯さん?」

「な……なにっ、蔭山さん?」

「山歩きは基本、学校がお休みのときだけなんです」

「……はい?」

「授業終わるのって、夕方近くですよね? 日が落ちた山の中って、標高低いところでもすっごく危ないんです。なので放課後には、山へは入りません」

「あ、そうなんだ……」

「ですので山に入るのは、土日の朝からですね」


 へええぇ……。

 軽い山歩きだから、てっきり放課後に出歩くとばかり。

 あ……じゃあ、あたしの土日祝日、これから部活で潰れるってこと?

 ……ううん、それでいいじゃない。

 休みごとに蔭山さんと朝からお出掛け……。

 楽しいピクニック……。

 お昼には、手作りのお弁当を交換したり──。


 ──パンッ! パンッ!


 妄想を強制終了させてくる、利賀先生の手を叩く音と声。


「よーし、新入りの挨拶はすんだな。じゃあまずは、いつもの筋トレ!」

「……は? 筋トレってなんですか、先生?」

「わが部は平日の放課後、基礎体力を養うためのランニングと柔軟体操を1時間。あとは郷土史のチェックと、次回のトレッキングルート作成だ」

「なんか、普通の授業みたいですね?」

「部活も授業のうちだからな……ぼりぼり。特に1年生二人は、ドーナツ5,000円分のカロリーを消費するくらいには、体動かしてもらおうか」


 ……うへぇ!

 先生、あたしたちがミスドで全額きっちり使い切ったの、根に持ってたぁ!

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