王は羽を求める
野林緑里
第1話
王は10人の騎士たちを集めて命令を下すことにした。
命令とはこの国の山に住み着いている伝説の鳥から羽を取ってくることだった。一見簡単そうに見える命令なのだが、その鳥というものは巨大なもので体に炎を宿しているという。それゆえに近づこうものならば、鳥の体温だけで燃え尽きてしまうとされている。
そんな鳥の羽を取ってこいとはどういうことなのだろうかと騎士たちは首を傾げていると王は再び口を開いた。
「その鳥の羽1枚1枚にも凄まじい魔力が宿っているといわれる。羽さえ手にすることができさえすればこの国は強固たるものとなろう。さすれば、この大陸を統一することさえも不可能ではないはずだ」
その言葉に家臣たちは歓喜に沸いた。
大陸を統一する。
すべてがこの国の手に収まるということは永年の悲願である。
統一さえすれば醜い争いなどなくなる。
皆が幸せに暮らせるのだと信じるからこそ、王の命令を聞くのだ。
王が争いを止めてくれる。
もう血を流さぬ世界にしてくれる。
そんな王なのだ。
「さあ! 皆のもの行くがよい。我らの明るい未来のために」
「我らの明るい未来のために」
王の言葉を繰り返した10人は、さっそく強大な魔力を秘めた羽を持つ鳥に会うために、住んでいるという山へと向かった。
それから10日ほどすぎたころ、鳥の羽を取りに行った騎士たちが戻ってきた。
その様子はどれほど苦労したのかわかるほどにボロボロで傷だらけであった。
歩くこともやったなものもいるのだが、死者はおらず王はホッとする。
「して羽はもってきたのか!?」
王が尋ねるが10人の騎士たちはお互いに目を合わせるもだれも答えようとしなかった。
「どうした? まさか羽を持ってくることができなかったのか?」
「持ってきたはきたのですが……」
「おお! そうか!そうか!さっそくみせよ」
歓喜する王に対して騎士は困惑の色を浮かべる。
なぜそんなに困惑しているのか王にはまったくわからず首を傾げている。
しかし、その答えはすぐにでることになる。
ドドドドーー!
突如として外部からなにかが駆け寄る音が聞こえてきたのだ。
「何事だ!?」
「王!」
王は騎士団長のほうをみる。
「羽は持ってきました。しかし我々が取ってきたのではありません」
「それはいかなることだ? まさか! かの伝説の鳥が我らに協力するとでもいうのか!?」
「あのお。その伝説の鳥というのは」
バーン!!
突如として扉が乱暴にあけられた。
同時に一匹の鳥が姿を現したで。
それはずっくりした豚のような胴体とそれを支える細い足をもつ大きな鳥であった。
「なんだ!? あれはダッサドリではないか!? なぜ、ダッサドリが城に入ってきたのだ?」
「王! これがかの伝説の鳥であります!」
「は?」
王は騎士団長のことばに目が点になる。
なぜならダッサドリという生き物はこの世界でもっとも一般的な鳥であるためである。さほど魔力をもってきるわけでもないが、食料にもなり移動手段にも用いられる鳥である。そんないたるところにもいる鳥がなぜ伝説の鳥と言い出すのだろうかと王は騎士団長とダッサドリを見比べる。
「王よ!」
するとダッサドリのほうから声が聞こえてきた。
「おぬしが話をしたのか?」
王がダッサドリに尋ねると頷いた。
「さよう。我が言葉を発した。我はダッサドリではない! そんなダサい鳥であるはずがないのだ! みよ。この整った顔だち。だれもが魅了する肉体!鮮やかな色をした羽 あのダサい鳥とは百倍いや千倍も美しいではないか!」
「いや、普通にいるダッサドリとかわらないよな」
「でも喋るダッサドリははじめてみたぞ」
そんな言葉を話す騎士たち。
王は呆然としていたが、やがて笑い始める。
「ハハハハ! ではおぬしは何者ぞ」
「我はダッサドリであらず!ビューティフルである! 」
「そうか。そうか。ビューティフルか。ならこれからビューとでも呼ぶとする。しておぬしはなぜここへ来た?」
「もちろん。王に協力するためぞ。わが羽に宿りし魔力を授けよう。必ずやこの大陸を統一するがよい」
「それ頼もしい!よろしく頼む」
そして、王とダッサドリいやビューティフルは盟約を結ぶことになる。
王は羽を求める 野林緑里 @gswolf0718
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