「壱翔、だけだよ」

「……」

「浮気なんかしない」

「……」

「壱翔が好きなんだもん」

「……」

「っ、信じて…よ」

周りから見たら馬鹿で格好悪い女だと思うかもしれない。それでもいい。壱翔を失うことを考えたら、プライドとかそんなものはどうだっていいんだ。

ただ、繋ぎ止めたい。必死になって嘔吐交じりの声を張り上げた。

「悪い。怖がらせた」

「っぅ、く」

「どうしようもねー。美里のことになると、どうも自制が効かない」

「いっ、とぉ……」

「信じてねぇ訳じゃない。だけどムカつくんだよ。他の男に笑いかけんのも、無理。気が狂いそうになる」

さっきまでの強い口調じゃない。いつもの口調に戻っていたことに安心した。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい