第9話
「…分かった。明日紹介するから」
半ば投げやりに、どうにでもなれとこの時はそう吐いてしまった。
「やった!絶対だよ?」
「うん」
今になっては物凄く後悔に襲われて、頭が痛い。どうしよう…
「…そういう訳でお願い!協力して」
祈るように手を合わせる。すがる思いで頼む相手は少ない男友達の中で唯一なんでも話せる太一。なんでも話せると言ってもさすがに彼氏がヤクザだからということは言わないでおいた。
そんな男はやめろと誰からだとしても言われるのが怖かった。否定だけはされたくない。
「は?なんで俺がお前の彼氏役をしなきゃいけないの」
「お願い!なんでもおごるから」
電話先からの声は顔を見なくても分かる。面倒臭いとこぼれた溜め息がそれを示す。
「…分ーったよ!!その代わり特大ジャンボパフェをおごれよ」
「本当に?ありがと」
顔に似合わず甘いものが好きで、頼りになって、聞き上手で。
そんな太一との会話をまさか壱翔が聞いていたなんて、知る筈もない。
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