第4話
「学校行かなきゃ」
「休め」
「無理」
「じゃ、遅刻」
「大人が言うセリフじゃないでしょ」
毎日朝はこうやって始まる。壱翔は学校に行かせたくないと言って子供みたく駄々をこねる。だけど私が嫌がることは絶対にしない。
「はぁー。学校潰しちまうか」
呟かれた言葉は無視をして、起き上がってベッドから出た。壱翔なら本当にやりそうだから怖い。私のあとを追うように壱翔もベッドから出てベタベタとくっついてくる。
「学校潰すとかやめてよ?」
「冗談だ。お前が浮気でもしたらその男ごと学校は潰すけど」
セリフと合わない満面の笑みを浮かべ、頭にキスが降る。浮気なんて私ができる訳がないのに。壱翔は心配性すぎる。前にそんなことを言ったら「好きな女心配すんのは当たり前だ」とさも同然に言われた。
心配されるのは嬉しいけど壱翔の場合、それを通り越して過保護。前までは歩いて通ってた学校も今じゃ送り迎えアリのなんともリッチな生活を送ってる。
「さて、嫌だけど行くとするか」
支度をして、準備オッケーの私に手を差し出す。確かに感じる愛がこの手にはいっぱいあった。掴んで、離したくない。彼を好きになってはいけなかったのに。
彼は
壱翔は十津川組の組長。この歳ですでにその地位を築いている。裏の世界。私には無縁だった世界。
ヤクザ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます