悲劇のヒーロー

愛彩

悲劇のヒーロー

『大学は、県外に行くからさ...。』


『それは、別れたいってことでいいの?』


『うーん。そうだね。』


『わかったよ。今までありがとうね。』


高校時代の恋愛はこうして

あっけなく終わりを告げたのです。


別れたいなら、別れたいって

ハッキリ言いなさいよ、と

若いながらに思ったものです。


当時の彼は、高校を挟んで

私とは反対側の地域に住んでいました。


毎回、私の家まで一緒に自転車で

帰ってくれました。


優しい彼でした。


そして、一緒に私の家まで帰った最後の日。

丁度、母に遭遇したそうです。


私は、まったくもって

覚えていなかったのですが

最近、その時の話を母から聞きました。


彼は、母に対して

『今日で最後ですね...。』と

憂いを帯びた表情で言ったそうです。


彼が帰ったすぐ後、

私は母にこう言ったそうです。

『自分から振っておいて

 何を言ってるのかしら。

 自分に酔ってるのかしら。』と。

なんと捻くれているのでしょう。

あ、私がですね。


とは言え、私含め、悲劇のヒロイン、

悲劇のヒーローになるのは

辞めておきたいところです。


思うのはしょうがないのです。

浸りたくなってしまいますもの。

悲劇の湯船に、ぷかぷかと。

自分から振っておいて

本物の湯船に、ぷかぷかと浸かりながら、

泣いてしまう時もありますもの。

大目に見て、周囲の人へ、

実はさ...と話してみてるのはいいでしょう。

ですが、やっぱり

恋愛相手本人に対しては

サッパリ!としていたいものです。


弱さを見せるのなら

察してヒロイン、ヒーローにならず

とことん弱さ全開でいきたいものです。


あれ?気がつけば当時からもうすぐ

10年が経とうとしているじゃないですか。

あらやだわ。


それでは。

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悲劇のヒーロー 愛彩 @omoshiroikao

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