骨人の忍~スケルトン・ニンジャ~
大黒天半太
骨人の忍~スケルトン・ニンジャ~
すなわち体術、剣術、格闘術、霊術、錬金術、妖術、魔術、それらを統合した忍術の使い手である。
彼にとっての世界が、異世界=こちら側の世界と不可解な融合をした際に、彼はこちら側にやって来た。
最初は彼と彼の種族は、彼の世界の他種族同様にファンタジー映画やゲームのモンスター扱いされたものだが、様々な事件の後、他種族同様に亜人権を認められ、この世界の法の下、一定の市民生活は保証された。
未だに、彼を見ると、突然十字架を突きつけたり、読経やら聖句を唱える者はいるが、驚く以外の実害は無い。
マイケルは、近所のショッピングモールの警備員の仕事を手に入れ、主に夜警の担当となった。
真夜中、一見無人のショッピングモールに
マイケルにとっては幸先のいいスタートになり、給料日前の
数ヶ月が経ち、マイケルも勤務に慣れて余裕も出てきた頃、その事件は起こった。
給料日の前日、ショッピングモールの各階に設置された
給与はほとんど自動振込になっているし、キャッシュレスで買い物する客も増えているが、現金はやはり遣われており、翌日の引き出しに備えて大量の紙幣が用意され、モールの本部と入居の各店舗にもお釣用に多量の少額紙幣や硬貨が必要で、そのリクエストが銀行に入っているため、モール担当の銀行員複数名と銀行からの警備員にモールの警備員も加わり、大忙しでショッピングモール内を練り歩くことになる。
何度目かの慌ただしい一日の始まりだと思ったマイケルの認識を、突然の銃声が破った。
天井に向けられた銃口は、煙をたなびかせ、天井のワイヤーの入ったガラス窓には、銃弾の跡らしい点を中心にひび割れが拡がっている。
目出し帽を被った四人組は、全員が拳銃を構えていた。
マイケルは、嗚呼、これがこの世界の鉄砲、拳銃というものかと観察する。
動ける者は銃声から遠ざかるように逃げ、職業倫理を貫こうとするかのように、銀行員は現金の入ったケースを抱え、警備員は銀行員を庇うように前に立ち塞がる。
だが、銃器そのものが使用されない前提の日本では、警備員の装備は、刃物を防ぐ防刃ベストと特殊警棒くらいのものである。
本物の銃器の前では、無力に過ぎる。
まぁ、それでも例外はある。
格闘技の有段者の肉体は、そのまま凶器であり、市民に向かって振るえば、罪は武器使用と同様に重くなるが、犯罪者への自己防衛で使用するのは、過剰防衛には問われないだろう。
そして、この世界にマイケルの世界が繋がった時、この世界にも魔術は流入している。この世界の魔術を遣えない住人に対し魔術を遣えば、罪は重い。
だが、銃器に抵抗することもできないマイケルのような弱者が、唯一の得意技である忍術を遣って犯罪者の暴力、しかも銃器に抵抗を試みるのはやむを得ない事態としか言えないだろう。
この際、弁護士費用は雇い主であるモールに負担してもらうとして、その弁護士の有能さに期待しよう。
使えるのは、スキルとしての忍術と道具としてのカルシウムしかない。
やむを得ない緊急事態、背に腹は代えられない有り様の中、苦肉の策である。
「忍術『骨鉄砲』!」
マイケルは、左手の人差し指から小指まで指先を四人に向け、それぞれの中節骨部分を即時にカルシウム化し、それに触れた水分は水素に分解され、引火して指先=末節骨の推進力に変わる。
四人に末節骨が命中し、三人は行動不能になった。残る一人は、三人の仲間を盾に逃げようとする。
「しぶといな。忍術『骨手裏剣』!」
人差し指から小指の第二関節まで、末節骨と中節骨を失った左手を、もう一度振り、三番目の骨・基節骨を打ち出し、四本の金属カルシウムの刃に変え、空中で腐食する前に更に加速して射出する。
小さな四本の金属カルシウムのナイフは、空気との摩擦熱で燃え上がり、四人目に触れた途端、その身体の水分を水素に変えて小爆発した。
とりあえず、犯人達は死ぬほどの怪我はしていないようだし、忍術の冴えも思ったほど落ちてはいなかったので、これでよしとしておこう。
骨人の忍~スケルトン・ニンジャ~ 大黒天半太 @count_otacken
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