第7話

 男の子は首をすくめて頷いた。


「変だよね。体が滅茶苦茶弱いのに、アミューズメント施設の跡取りなんてさ」


大男に車椅子を押してもらい。ドア付近で男の子は振り向いていた。それに私は答えた。


「また、明日会いましょうよ」


「うん……」




私には自由がない。


あの子には、半分だけ自由がある。


不思議だった。




軽く昼食を終えて、また外へと出た。

心なしか空に浮かぶ大量の風船が降りてきている。

中身の空気が抜けてきたのだろう。

今度は大きく息を吸って、町の方へと足を伸ばした。


整備された道路を歩いていると、オシャレな喫茶店の前に黄金色の風船が落ちていた。


私は財布の中身を確認してからドアを開いた。


「いらっしゃいませ」


30代半ばの男がいた。

髭面で丸坊主だ。

服装からして店主だろう。

お客が一人奥のテーブルにいた。

手近なカウンター席に座ると、私はフルーツパフェを頼んだ。


「かしこまりました」


店主はキビキビした動作で、フルーツをカットして、透明カップに詰め込むと、バニラを乗せた。


その上に生クリームとヨーグルトがかけられていく。

その後ろの多種多様な皿がある飾り棚に、目を向けていると店の奥から中年のお客が歩いてきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る