第2話 夢から覚めて、そして
その夜、お披露目会があると屋敷の大広間には多くの貴族たちが集められていた。
何のお披露目なのかはまだ知らされていない。
それでも人々は華美な装飾や香ばしい匂いが漂っている料理を前に、楽しげな笑みを浮かべている。
しかし、私だけは違っていた。
周囲の華やかな雰囲気から取り残されたように、一人暗い顔をしている。
今朝見た夢が何度も頭をよぎり、重くのしかかる不安や恐怖に胸が押し潰されそうだった。
──きっと、こんな顔をしているのは私だけよね……。
ふと窓に映った自分の姿を見てため息をつく。
思わず視線を逸らそうとしたその時、大広間のざわめきを鎮める凛々しい声が響いた。
「皆、本日はよく集まってくれた」
その声の方へと視線が集まりだす。
純白の貴族衣装を着たダニエルが、壇の上にいた。
──夢と、一緒の衣装……。
心臓の鼓動が大きくなる。
そして、彼は淡々と告げていく。
「今日は皆に知らせがある。新しい婚約者についてだ」
──嫌な予感……。
さらに鼓動が激しくなり、思わず胸元を抑えるようにドレスをぎゅっと掴んだ。
「その前にエリーナ。まず君との関係についてだが」
ダニエルは冷ややかな視線をこちらに向け、言葉を続けていく。
──その先は、たぶん知っている……。
脳裏に浮かぶのは、今朝の悪夢。
大広間に集まった人々の視線が、まるで針のように鋭く私に降り注ぐ。
「君との婚約を破棄する」
──ああ……。やっぱり予知夢だったんだ。
絶望し、頭を下げる。
ダニエルは夢と同じように淡々としていながらも、唇の端に薄く笑みを浮かべていた。
「君の予知夢は使い物にならない。今日からは、ここにいるルシアの占いを……」
真っ赤なドレスを着た女性が彼の背後から一歩前へと踏み出す。
それを見て、今朝の夢のように足元が崩れていく感覚がした。
──夢の先なんて聞きたくもない。見たくもない。知りたくもない……。
私は、その場から逃げ出した。
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