第49話 新人戦
高校サッカー選手権大阪予選の結果。
優勝校は銀星高校。
準優勝は城壁高校。
ベスト4校は東大阪工業高校と蒼天男子高校。
ベスト8は全てBIG8のチームとなった。
新人戦の大会方式はトーナメント制。
新人戦の参加チームは、選手権の中央トーナメントに出場したチームのみ。
参加チームは合計32チーム。
対戦の組み合わせは、選手権の組み合わせと変更する。
神龍高校は午前中に1回戦を行い、2-0で勝利した。
午後に2回戦を行う。
相手はBIG8の東大阪工業高校。
東大阪工業高校はハイプレスが持ち味のチーム。
アップ開始1時間前。
神龍高校は自分たちのバスの近くに座っている。
選手たちはスポーツゼリーやおにぎりなどの間食を食べてエネルギー補給をしている。
「食べながらでいいから集まって!」
キャプテンの松田先輩が集合させる。
松田先輩の元に選手達が集まる。
「次の相手は強敵だから、しっかりミーティングしよう。
みんな、相手の東大阪工業高校の選手で知ってる人とかいる?」
松田先輩が質問するが無言だ。
みんなで顔を見合わせている。
「分かった。
多分、知らなそうだな。
俺の知ってる情報だと10番がキープレイヤーだそうだ。
たしか、10番の名前は菅原大河。」
「えっ!!」
1年生の森田が大きな声を出して驚く。
森田は左サイドハーフのドリブラーの選手だ。
他の選手達が森田の方を見る。
「どうした森田?」
大宮先輩が驚きながら森田に質問する。
「いや、菅原大河は俺の中学のときのチームメイトです。」
「それなら言ってくれよ。
俺がさっき質問したときに。」
松田先輩が言う。
「いや、東大阪工業高校に行ってるってこと知らなくて。
すいません。」
「別に、謝らなくていいけど。」
「じゃあ、菅原って選手について知ってることあるか?」
阿部先輩が森田に質問する。
「菅原は俺と同じ1年生です。
中学のときから上手かったです。
特にフリーキック。
フリーキックで何回もゴールを決めてた印象があります。
あとは運動量ですね。
守備のときも一生懸命走ってました。」
「分かった。
できるだけ自陣でのファールは控えよう。
フリーキックはあまり蹴らせないようにしよう。」
松田先輩含めて、フリーキックの警戒は心に留めていた。
「菅原以外に知ってる選手はいないのか?」
千葉が森田に質問する。
「いるか分からないけど、菅原とよくつるんでた人ならいる。
斎藤と早坂っていう2人。
なんか護衛のような感じで、菅原にくっついてました。」
「斎藤?
あぁ〜〜。
あいつか!」
デ・ヨングが思い出す。
「どうした?
デ・ヨング。」
松田先輩がデ・ヨングに質問する。
「斎藤ってやつ、国体で一緒にやったんですよ。
ディフェンダーで左利きでした。
でも、身長は低かったと思います。」
「分かった。
スタメンかは分からないが、斎藤ってやつにはロングボールを多く蹴ろう。」
「森田。
早坂ってやつはどういう選手なんだ。」
朝日が森田に質問する。
「早坂はキーパーです。
身体能力がめちゃくちゃ高くて、その能力がセービングに直結してます。
とにかくシュートストップが上手いです。」
「ありがとう森田。
その情報はかなり参考になるよ。」
渡辺先輩が森田に感謝する。
「俺の情報だと、10番の菅原は春季大会から10番を着けてたらしい。
つまり、1年生でトップチームで10番。
選手権のときは怪我してでれなかったって情報がある。」
松田先輩が情報を伝えた。
「相手がどこだろうと勝つぞ!」
『おお!』
ミーティングは終了した。
森田は神龍高校のジャージを着てトイレに行く。
「(あいつらがいんのかよ。
イヤだな。
調子が狂う。)」
ガチャ
森田がトイレのドアを開けると、
「えっ、消えた天才じゃん。」
とっさに、早坂が口を開く。
森田がドアを開けた先には、東大阪工業高校の斎藤と菅原と早坂がいた。
「(なんでこいつらが。)」
森田は不快感を感じる。
「(その赤いジャージ。
神龍高校って書いてあるし、まさか神龍高校に入ったの?」
早坂が質問する。
「……。」
森田は黙る。
「黙るってことは本当かな。
エリート街道を歩めなかったんだ。
神龍高校っていう弱小高校に入学してさ、
ドンマイ、ドンマイ。」
早坂が森田を煽る。
森田は怒りの感情がたまるが、必死に我慢する。
「やめろ!」
菅原が早坂を止める。
「はぁーい。」
早坂は煽りをやめた。
そのまま、3人はトイレを出ていった。
バン
「クソが。」
森田がトイレの壁を叩く。
アップ開始。
スタメン組とベンチ組に分けてアップを行う。
ストレッチ、基礎練、ポゼッション、シュート練習、ヘディング練習をして、体を温めた。
神龍高校の今日のユニフォームは紫色。
東大阪工業高校のユニフォームが赤色のため、2ndユニフォームの紫色になった。
神龍高校のユニフォームは紫色。
キーパーユニフォームは黒色。
東大阪工業高校のユニフォームは赤色。
キーパーユニフォームは黄色。
「山崎君。
久しぶり。」
「和泉監督。
ご無沙汰してます。」
アップ中、山崎監督に和泉監督が話しかけに来た。
和泉監督は東大阪工業高校の監督。
山崎監督よりも年上だ。
「いやー、今年の君のチームは良いね。
国体のメンバーもいるらしいじゃないか。」
「そちらこそ、良いチームじゃないですか。」
「よろしくね。
山崎君。」
和泉監督が手を出す。
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
山崎監督が手を出す。
お互いに握手をした。
神龍高校のメンバーは1年生、2年生、それぞれ10人ずつの20人。
1年生で選ばれたメンバーは八木、デ・ヨング、千葉、加藤、木村、朝日、幕井、佐藤、森田、小田の10人。
選ばれなかったメンバーは観客席で試合を見ている。
スタメンは前回とは変わらない。
フォーメーション4-3-3
神龍高校スタメン
1 GK 阿部流星
2 CB 涼太デ・ヨング
3 RSB 松田来斗(キャプテン)
4 CB 渡辺直人
5 LSB 加藤亮平
6 DMF 日村望
7 RWG 佐藤晴久
8 CMF 幕井竜二
9 CF 大宮涼
10 CMF 小泉海里
11 LWG 春日洋之助
アップ終了。
スタメンのメンバーは列に並ぶ。
気温はやや寒い。
インナーを着ている選手たちも多い。
幕井は手袋もつけている。
幕井は寒がりだ。
相手のスタメンには菅原と早坂と斎藤がいる。
ピー
審判の笛と同時に選手たちがピッチに歩き出す。
選手たちは真ん中に立ち、審判の笛とともに礼をした。
選手たちは握手をした。
コイントスの結果、神龍高校ボールで試合が始まる。
選手たちで円陣を組む。
松田キャプテンが口を開く。
「いいか、相手はBIG8だ。
今度こそ、BIG8には負けない。
勝つぞ。 いくぞ!!」
『おおーーー!!!』
選手たちが配置につく。
ピー
東大阪工業高校ボールで試合が始まった。
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