第7話 迷い

 あれから、佳浩は、学校の無い間は、明浩をサッカーのディフェンダーの如くピッタリマークし、安全を確保。

 しかし、学校が始まると日に日に、顔色が悪くなった。


「……佐々木?」

 京崎が、学校の机をノックする。


「……ごめん。ぼうっとした。」

 佳浩は、まだぼんやりしていた。

 京崎が、何か言いたそうにしていたが、結局お互い窓の外を見つめるだけで、休み時間が終わってしまった。

 佳浩は、京崎が何か話しがあるのだろうと思ってはいたが、気怠くて話を聞く気がしなかった。


 京崎ー、ごめん。



 まだ、あれは佳浩にピッタリついていた。



 明浩や京崎が居れば、居なくなる。

 でも、それ以外の時は、何言う訳でもなく、左肩付近にピッタリ。

 事故に合ったのか、はたまた暴力を振るわれたのか、頭から血を流し、腕はダラッと垂れている。引きずるような音がするので足を引きずっているのかもしれない。

 怖くて見れない。


 明浩と毎日寝ているので、寝てはいるものの、体が日に日にダルくなっていく。

 気力が湧かない。

 学校に来ても、先生の話しが頭に入ってこない。

 何やっても嫌になる。

 すべてが面倒で、何もしたく無かった。


 佳浩は、ため息をついた。



 京崎は、そんな佳浩の後ろ姿を見ていた。

 佳浩を助けたい。だが、京崎がいる時は、あれは姿を現さない。

 母親に借りた鏡は割れてしまった。

 あの鏡は、強力な繋ぎの力があり、霊を鏡の前で繋ぎ止め祓う事が出来た。

 京崎には、まだ霊を繋ぎ止める強力な陣が作れなかった。

 未熟な自分に腹が立った。

 自分で佳浩を助けるとなったら、また佳浩を囮として使うしかない。

 ただそうなると、また佳浩を危険に巻き込むかもしれない。



 京崎も、ため息を吐いた。


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