第39話 湖の化け物

 震え脅えるゴブリン達に案内させ、化け物が住む湖にやって来た。

「どんよりとした湖だな、如何にも何か出そうな雰囲気だね!」

 広い湖全体が濁った水、その中央付近がザワザワ波打ち、赤いウネウネ触手がうごめき延びて来た。


 トーラ達が、ウネる触手を斬り落としているが、際限無く触手は延びて来て切りがない。


 ウネる触手で水が掛かった。

「あれ? 水が塩辛い? 塩水の湖か?」


 塩水湖なので、湖に磯巾着いそぎんちゃくの化け物が居た様だ。

 塩茹でにすると美味しい磯巾着や亀の手、船虫にしても実際のものは小さいから何とも思わないが、海の生き物は不気味な物が多い。


「アダン! 火を飛ばして!!」

「ん?」

「熱湯噴射の水無し! 火だけ飛ばすの!」


 トーラの無茶振りと思ったけど、言われると何か出来そう!

「熱湯噴射の水無し!!」

 やった!! 火を噴射出来た!

「もっと遠くまで噴火!!」


 湖の中央、ザワザワして居る触手に集中噴火!! 触手が燃えてる。

 ……何時まで噴火してれば良いの?


「アダン様! 湖がグラグラ煮たってる!」

「アダン頑張れ! あの化け物、煮物にしちゃえ!!」

(トーラ? 化け物の煮物? 食べる気?)

 ※磯巾着いそぎんちゃくの触手を取り除き、本体は食用可能。


「アダン様、化ケ物死ンダ、ゴブリン達ニ持ッテ来サセル、火ヲトメテ」


 巨大な塩湖一ヵ所が沸騰しても、噴火を止め暫くすると元に戻った。

 巨大な化け物が浮かんでる。


 ここのゴブリンが特殊なのか、大勢のゴブリンが湖を泳ぎ、浮かんだ化け物を岸まで運び水揚げした。


「不気味だな!!」

「アタン何言ってる! 旨そうだよ!」


 スペースは無限収納くらい進化してる。

「これ収納して置くよ」

「燃え残った触手付きで皮を剥いて討伐証明、中身を料理して! 朝飯!!」


 トーラ簡単に言ってくれる。

「あれ? 意外に簡単に皮剥き出来た?」

 30mはある怪物、上に乗り一気に切り裂き、怪物を転がしながら皮剥き20分掛からず終った。

 討伐証明の皮をスペース収納、30mのお肉を解体した。


(この怪物が死んだ直後力が溢れて来た、気のせいじゃ無かった)

「そうだ! トーラ達料理が出来る間、街道を走って密偵達を探し、背負って連れて来て」


「チョッと嫌かも」

「化け物討伐、食べ尽くす前に現物見て貰いたいし、驚異が無くなった拒否の原通行出来る事も説明したい! 連れて来て、プリンはゴブリンに指示させる為残ってもらう」


 ブウ垂れながらトーラは、セインとベクトラにエレンを連れ走って行った。

⦅アダン様のタラシ料理、密偵達に食べさせたく無い⦆

 セインが何か呟きながら走って行った。

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