第38話 拒否の原【2】

 夜がふけると辺りは真っ暗、煮炊きの残り火が近くを照すだけ、遠くで何かの唸り声は聞こえる、何が起こって居るか気になる。

「こんな真っ暗とは、唸り声の正体は何だろ? さっぱり見えん……プリン何か見えるか?」


「アダン様、遠クテ見エナイ! チョット行ッテ見テ来ル」

「プリンの安全の為それは許可できん! 夜が明けたら昨日の場所まで走れば、日中に唸り声の正体が判明する! もう寝るぞ!」


「アダン様、モウ少シモグラノ甘辛焼キ、食ベタイ!」

「「「「私も、もっと食べたい」」」」

 トーラやセインは納得の食欲だけど、ベクトラにエレンまでまだ食べる気?


「アダン様のタラシ料理、モグラ肉の甘辛焼きは今までの最高料理です!!」

 出た! セインのタラシ料理! 責められて居るようで、全然誉められた気がしなよ。

 通常の香料と塩に、クダン兄さんの水飴に初の野菜、辛味房を使ったのでこうなった様だ。


 ※辛味房は、緩い辛味の唐辛子…ピメントってご存知の方って少いかな? 甘唐辛子と言うと味を誤解する人が多いでしょうか? ピーマンやパプリカと同種で、普通はピクルスに加工した物しか手に入らない、辛味より風味を活かす野菜です。


 50㎝のモグラ解体した肉は一匹10㎏は有る、結構大喰らいになった僕は半分の5㎏食べてお腹イッパイでこれ以上食べられない。

 プリンは10匹分喰った、プリンだからもっと喰えるだろうが、トーラ達4人皆一匹分食ってた……10㎏だよ! お肉10㎏の焼き肉何処に入ったの?


 スペースから、焼き立て肉を取り出した。

 前も思った事が有るが、皆オーク並みに食うな! 異常な食欲が怖いよ!!


 


 早く寝て、日の出と共の活動。

 最近のお馴染み、プリンに埋もれて寝る僕の背中をトーラとセインに挟まれ、サンドイッチの具状態の目覚めだった。

 モゾモゾ逃げ出し拒否の原を眺めた。


「あれ? ん?」

 僕達より遥かに遠目の効くプリンに確認させないと。

「プリン! 起きて!」

「アダン様? 美味シイオ肉ノ朝ゴハン?」


「プリン! あれを見てくれ! ゴブリンに見えないか?」

「ン? ソウ、ゴブリンデス」

「まさか、拒否の原の踏み行った者が帰って来られない、危険な存在がゴブリン? プリン!あそこまで走って行くぞ!!」

「アダン様、オンブスル!」


「僕を背負っていたら、急な対処出来ない! 僕も走る!」

 驚異がゴブリンなら、ゴブリンクイーンのプリンの命令は聴くだろう。


❰グゴーーーゥ❱

 プリンの咆哮が響いた。

「ギョギ!!」

「「「「「「「「「「ギャギ!!」」」」」」」」」」

 辺り一面平伏すゴブリンで埋まった。


❰ゴゥ?❱

「ギャギャッギョ」「ギッギ、ギョギョ」「グガグゴ、ギョッギョ」


「アダン様、ゴブリン達、湖ノ化ケ物カラ逃ゲテ来タト、言ッテ居リマス」

「湖の化け物?」



「アダーーン! 勝手な事して! 心配するだろ!!」

 トーラ達が走ってやって来た。

「トーラ、ゴメン! ゴブリンが見えて、驚異がゴブリンならプリンが命令すると驚異で無くなると思って……」

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