第37話 拒否の原【1】
街道を東に向かった、密偵に歩調を合わせて居るので、殆ど距離は進めていない。
三人の歩き方、体の動かし方から凡その戦闘力は伺える、密偵とは事務官? 戦いは不向きの様だ。
「ジュウザさん、何故真っ直ぐ行かない?」
突然街道は北の山脈に向かってる、前方は草原が続き真っ直ぐ行けば日程の短縮出来そうと聞いてみた。
「ここは、一見草原に見えるが『拒否の原』と言って、踏み行った者は帰って来ない、有名な危険地帯なのだ!」
「広大な野草の宝庫、何物が侵入を拒否してる?」
「大ミミズと大モグラは確認されて居りますが、危険な存在は不明です」
「ミミズは土壌改善に役立ってる、モグラのお肉は食用! 不明な危険な物の調査する、ジュウザさん達は街道をそのまま進んで下さい! 調査済みしだい合流します」
「それは……余計な危険をあえて侵す必要は有りません! お止め下さい!」
「広大な農地から危険な存在を取り除き有効活用しないと! 僕は西日暮村出身、遊ばせる土地の無い最果ての開拓村です!! 危険を回避する能力には長けて居ます、それに依頼は無くても調査し利用可能にするのが冒険者の任務と思って居ます」
僕達が拒否の原に踏み入ると、ジュウザさん達も着いて来ようとする。
「密偵部隊の皆さんは、戦闘を得意として居ない様子、言い難いですが、ズバリ言います! 着いて来られると調査の妨げに成ります! 貴方達を護りながらの調査は成功率を下げます」
これだけ拒否すると、ジュウザさん達不承不承ながら、街道を山裾の方に向かって行った。
非戦闘員を護りながらの調査だと、仲間に死傷者が出る可能性がまして来る、気を悪くしたかも知れないが、お互いの為と割り切った。
「ベクトラにエレン、戦闘は僕達に任せて自分の身を守る様に」
「アダン様の邪魔には成りません! 私達を気にせず調査して下さい!」
「プリンは周辺の異変を感知して!」
「ハイ! アダン様」
直ぐには危険が無いようなので、回りの野草を確認した。
「ニンニラに小カブ、ひねイモにタデの実アワの実に菜っ葉、粒ピリに辛味房、甘イモまで有る」
「ミミズ効果? 土がふかふかだよ! こんな肥沃な土地を放置するのは勿体無いね!」
と言いながら、地面に剣を突き刺した。
トーラの剣先には50㎝位のモグラが突き刺さって居た。
「アダンくんスペースに入れて」
セインもモグラを突き刺して居た。
トーラとセインは際限無くモグラを突き刺して行く。
大量のモグラ解体して、料理を考えないと。
「皆! 引き返すぞ!」
「アダンくん? どう言う事?」
「この状態の野営は危険! 街道まで戻り夜の拒否の原を観察する」
「成る程! そうだね」
「そんなアダン様だから、私達安心して着いて行けます」
良いタイミングの引き返し、日が暮れる前に街道に戻れた。
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